2017年06月19日

「バベルの塔」展を見に行ったよ という話

2017年4月18日〜7月2日まで東京都美術館にて開催されている「バベルの塔」展を見に行きました。
この展覧会の正式名称は下記の通りです。

ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展
16世紀ネーデルラントの至宝 ― ボスを超えて ―


なお、公式サイトはこちら

うひょー!!
お気に入りのブリューゲルが日本に来るとなれば見に行かないではいられません。
しかも副題が「 ― ボスを超えて ―」。

― ボスを超えて ―

しつこい? 笑
とゆーわけでもボスの名画も2点、初来日です。

奇想の画家ボスの系譜を受け継ぎ、更に自分自身の色を重ねて素晴らしい作品を生み出していったブリューゲル。
まるで神の一手に続く長い長い道の中で佐為のために虎次郎がいて、ヒカルのために佐為がいたように、天才は次の天才のためにいるのだと…何の話か分からない方は気にしないでください。はい。

ボスの絵に心惹かれたのは、ベルギーの王立美術館で「聖アントニウスの誘惑」を見て、あまりに多彩なキモいゆるキャラどもに目を奪られてからです。
奇想の画家、と言われるだけあって、ボスの絵画には空前の(そして絶後ではない)奇想がふんだんに盛り込まれています。
現存している作品が少ないこともあり、なかなか見ることのできないボスの作品を、日本にいて2点も見られるなんてなんと贅沢なのでしょう。

それに展覧会のタイトルロール「バベルの塔」も、これはまさに空前絶後の名作です。
あまりにスケールの大きな作品だけに、物理的な大きさもそれなりにあるのだろうと思っていたら、実物はそんなに大きくなくて、そのさして大きくない画布にこれだけの世界を描き出すなんて本当に天才は天才なんだなあ…というアホな感想を抱いてしまいました。はあ。

行ったのは5月中旬頃のいつぞやの土曜日だったのですが、会場内はかなり混んでいました。なのでゆっくり見られるという感じではなかったのですが、でも行ってよかった!
実物の素晴らしさも勿論ですが、展示には様々な工夫が凝らされており、特にクローン文化財という試みが大変良かったです。
クローン文化財とは何ぞや、と言いますと、要するに実物に極めて近い精巧な複製のことだそうです。
今回の展示では実物の300%程に拡大した複製画が展示されておりました。これによって、実物を肉眼で見るだけでは分かりづらい細部の緻密さまでじっくり見ることができます(前述の通り、実物は結構小さい)。
それから、絵画に描かれたバベルの塔を3DCGに起こした特別映像も上映されていて、これがすごくよかったです!
3Dで見せられることで、「絵画の中で起こっていること」というのを、まるで追体験するが如く自分自身の身に引き寄せることができます。
いや〜よかったな。
でも私があの絵の中の登場人物だったとしたら、普段常々思っているのと同じように、「はあー今日も塔づくりかーだりぃなー家帰って寝たいわー」とか考えていると思います。

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お土産いっぱい買ってしまいました。クリアファイル好きなのでついクリアファイルを…。あ、ちらっと見えているガイドブックはお土産に買ったのでなく、事前学習のために買いました。ガイドブックも面白かったよ!

そんで、いっぱい転がっているピンバッヂは……

1回300円のガチャです……

(物販を出た後のスペースで回せます)
私はタラ夫が欲しかったのです。タラ夫とは何ぞやと言いますと、この展覧会の公式キャラでゆるく、キモい。笑
さすが奇想の系譜。その名に恥じぬ面白さ。
タラ夫の姿は公式サイトでいっぱい見られますので是非見てみてください!

で、ガチャを回しまくったもののタラ夫は出ず、同行者にもいい加減にしたらふうの視線を向けられ、こんだけ回したところで私は諦めたのでした。

newimage1-2.jpg
こいつなんか、なんか知らんけどやたら大量に出たし。
1匹は同行者にあげました。なのでその1匹はここには映っていません。

東京会場は7月2日までですが、その後大阪に巡回するようです。
大阪は2017年7月18日〜10月15日の間、国立国際美術館にて開催されるとの由。


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posted by 綾瀬 at 22:40| Comment(0) | 雑記・その他

2017年06月25日

ブリュッセルでまたテロ…

去る2017年6月20日夜、またブリュッセル中央駅にて爆発事件が起きました。

ブリュッセルの駅で爆発、テロと発表 容疑者射殺
(CNNニュース)

たった半年前に行った場所でテロが起こったということで、なかなか言葉で説明しづらい感情が湧いてきました。遣る瀬無い、というのが一番近いかもしれないです。

犯人は射殺され、現場はすぐに制圧されたということで、幸いにも市民に負傷者は出なかったようです。

ブリュッセル市内を散策している時、何度も二人一組の軍人のパトロールを見かけました。5分に1回くらいの頻度で見かけました。
私自身はベルギーにいる間、身の危険を感じるようなことはありませんでしたが、根本的な問題が解決したわけではない以上、どこにいてもテロの危険性はあるわけで、旅行に行かれる方は十分ご注意ください。

厳重な警備体制によって市民に被害が及ばなかったことは喜ばしいことですが、本当は勿論軍人さんたちが訓練の成果を発揮しなければならないような場面がないことの方が喜ばしいことではあります。

でも、そういう世界に近付けていくためにはどうすればよいのでしょうか。

テロを起こす、というのは話し合いでの解決を望んでいない、ということは勿論ですが。
それはつまり相手からの理解も共感も拒んでいると言えると思います。

理解も共感も拒む相手にどうアプローチすればよいのか?

100年考えても答えが出るかな?
多分100年後にはAIの方が人間の何百倍も頭良くなっちゃってるでしょうから、もしかしたらAIが答えを導き出してくれるかもしれませんが。

ベルギーにはいつかまた行きたいと思っています。
行ったら当然、スーツケースを引きずってブリュッセル中央駅をうろちょろすることになると思います。
ブリュッセル中央駅って、面積は広いんですが何かコンパクトな感じがあって、構内がちょっとごちゃっとしてたり天井がやたら低い場所があったり開放感があまりなかったりするのがどことなくJR新橋駅みを感じさせ…新橋よりずっときれいだけどさ…、あと新橋の方が開放感はある…、いや、単なる印象ですが。

同じブリュッセル中央駅で2016年に最初のテロが起こった時は、大勢の方が亡くなっています。
テロの被害に遭ってしまった方と遭わなかった方との違いは、たまたまそこにいたかいなかったかということでしかないわけで、あの綺麗で賑やかな駅でこれ以上暴力が発生しないことを本当に願います。
勿論、それ以外の場所においても。


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posted by 綾瀬 at 17:23| Comment(0) | 雑記・その他

2017年09月30日

ベルギー 奇想の系譜展 へんてこだけど面白い

ベルギー 奇想の系譜展に行ってきたよ。という記事です。

この記事を書いている現在は既に展覧会の期間は終わってしまっているのですが。
2017年7月15日-9月24日まで渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで行われていた、ベルギー奇想の系譜展を見に行ってきました。

公式サイトはこちら
トップページの絵からしてインパクトがすごい・笑
大好きボス工房。

私のお気に入りのボスの工房の絵画やブリューゲルの版画が沢山展示されていて、とっても楽しい展覧会でした。タラ夫もいたし(着ぐるみじゃなくてネタ元の版画ね)。中近世の絵画だけでなく、近現代の絵画やオブジェクトもありました。

紹介したいならせめて期間中に記事を書けって感じですよね。すみません…。

本展覧会は、15世紀頃の中世末期にベルギーを中心として興った、写実的でありながらグロテスクでもある幻想的な絵画の系譜を現代に至るまで年代順に辿ってゆくというもので、ベルギー古典美術館でボスの変な絵(失礼)に魅せられた私は是が非でも行かねば! と勢い込んで若者の街SHIBUYAへと向かったのでした。

宇都宮と兵庫を巡回してからの渋谷だったので、近場でも開催してくれて嬉しいことこの上なし。宇都宮でやってたのは知ってたけど(そして渋谷でやるのは知らなかった)、ちょっと遠くて行けないなーとがっかりしていたので。

ま、それはさておき、「奇想の系譜」「へんてこだけど面白い」と謳うだけあって、キモカワだったりキモオモシロだったりな絵画が目白押しでした。

やはり白眉はボス。ボス工房。
公式サイトのトップページの絵でもある「トゥヌグダルスの幻視」は、ボスの生前にボスの工房で制作されたと思われる絵画だそうです。丸々本人の真筆ってわけじゃないのかもしれないけど、パッと見ただけでも相当にキモオモシロ。で、案の定相当気に入ってしまいました。公式サイトの「みどころ」に全体図があるので是非見てね。

中央に鎮座する、うつろな目のでっかい頭。きもっ。鼻から金貨・銀貨出てるし。キモくて目が離せません。好きってことさ。
そのキモい頭部の鼻から出てくる金貨銀貨の桶に埋もれてるのは堕落した「邪淫」な修道士や修道女たちだそうな。
桶の手前、サイコロに座りつつ悪魔にぶっすり刺されてるのは「貪欲」。
そこから右側に向かって、外側が白い球体の中にいて、無理矢理飲まされてるのが「大食」、その奥で刺されて死んでんのが「激怒」。大食の罰に無理矢理飲まされまくり、激怒の罰に更なる激怒によって報われ刺されて死ぬ。私も激しやすい性格なのでこーならないように気を引き締めようと思いました。まる。
その上の、赤い綺麗なお布団をかぶって天蓋付きベッドに横たわっているのが「怠惰」。悪魔たちに囲まれてます。私も朝起きて、会社に行かなきゃいけないんだけど行きたくなくて目ぇかっぴらいたまま起き上がれず今日会社休もうかなーって考えてる時はこんな感じ。我が身につまされることよ。
左側に行って、上の方、白い仮面のコミカルなちびに何か訴えかけられているのは「傲慢」。このちびの白い仮面は死者の面だそう。へえ。美人やら才女やらがその報いとして傲慢の罪を受けるというのは小町零落伝説、清少納言零落伝説とかと一緒で世界中どこにでもあるもんですね。
んで、「傲慢」のすぐ下、暗がりに倒れて蛇にまとわりつかれ、犬に体を喰らわれているのは「嫉妬」の罪を受けるアダムとイブだそう。

そんな感じで7つの大罪の要素を盛り込んだキモカワイイ絵。
画面中央、やや左下あたりの口がラッパになってる悪魔も可愛いし、でっかい頭のてっぺんで何やらご機嫌そうな様子で麦穂(かな?)を掲げてるフクロウぽいのも可愛い。その隣の白いのはよく分からん! が、キモオモシロイと思うよ。さらにその隣のおサルっぽいのも可愛いね。

この絵のことばっかり言ってるけど、他にも気に入った絵がいっぱいあった。
今まで、あまり近現代の絵画には目を向けてこなかったんだけど、気に入ったのが意外と象徴主義やシュールレアリスムで、もっと他にも見たい! って思ったんだよね。
気に入ったのはロップスの「聖アントニウスの誘惑」(おっぱいが見れる)、「舞踏会の死神」(おっぱいは見えない)、「娼婦政治家」(おっぱい有)や、デルヴォーの「海は近い」(おっぱい有)、アンソールの「ゴルゴダの丘」(嫌いな奴を絵に登場させて悪役をやらせた上にそいつの名前を実名で絵の中にデカデカ書く、因みに自分はイエス・キリストの役をやる、などのナイスプレー)、ヌンクの「運河」(廃墟の絵なのでエロなし)、「黒鳥」(黒鳥さんの絵なのでエロなし)、サードレールの「フランドルの雪」(フランドルのそらおそろしくなるような風景の絵なのでエロなし)などなど、おっぱいが見たかっただけなんじゃないかという気もしないではないのですが、綺麗なチャンネーの絵は好きなのだからしょうがない。
「海は近い」はポストカードも買った。お家で見たかったので。ポストカード、あまり買わない方だから自分でも珍しいなって思った。
でもチャンネーばかりじゃなく風景の絵も好きだよ。犬がいるとなおいいね。今回は犬いないけど。
あと、ベルギーで見そびれたクノップフの作品もいっぱいあって、とにかく満足! 充実した展覧会でした。

IMG_4435.JPG
お土産いっぱい買った。真ん中らへんやや左寄りの小さめのクリアファイルの絵が「黒鳥」です。綺麗なグリーン!
何故ベルギー製キッチンタオル(左上ね)まで買ったのかは、まあ財布の紐が緩んだということで。そしてマグネット4つも買ってるしね。いいの冷蔵庫に貼りたかったから。
右下で見切れてるのが「海は近い」のポストカード。この絵本当に素敵だった。私が大富豪だったらお家に飾りたい。でもきっと、飾ったら落ち着かないね。不安になる。シュールレアリスムですからねえ。でもレプリカでいいから欲しい。いいから、なんて言える身分じゃないだろーけど…。レプリカっていくらくらいするものなんでしょーか…。

素敵な展覧会の企画をどうもありがとうございました!

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posted by 綾瀬 at 00:37| Comment(0) | 雑記・その他