2021年12月13日

3/1 マチネ パリ・オペラ座バレエ団「ジゼル」

一年半以上前に書いて公開するの忘れてたパリオペ来日公演の感想を今更ですが公開しますもうやだ〜(悲しい顔)もうやだ〜(悲しい顔)もうやだ〜(悲しい顔)
何故公開してなかったんだろう…。
以下、2020年に書いた感想記事です↓

パリ・オペラ座バレエ団の来日公演。すごく楽しみにしていました。演目はジゼルとオネーギン。大好きなジゼルと、まだ見たことのないオネーギン…。すっごく迷って両方チケット取りました。でも所得には限りがあり、どちらもS席というわけにはいかず、未見のオネーギンを優先してS席に、ジゼルは貧乏だったので一番安い5階右側サイド席としました。どうでもいいけどこの文章だと貧乏なのはジゼルみたいだな。いや、知らんけど。とりあえず貧乏なのは私です。海外旅行貧乏、バレエ貧乏です。貯金しろって友達にも怒られました。むんっ。

っていうどうでもいい話はほんとどうでもよくて、大好きなジゼル。そしてエレガンスの本場フランスのパリ・オペラ座バレエ団! 今更私が言うまでもないことですがパリオペって本当に独特の、パリオペらしさがあって他のバレエ団とは全然違いますよね。私はロシアのバレエがもしかしたら一番好きかもだけど、パリオペのセクシーさや優雅さは本当に大好きです。

というわけでジゼル。

芸術監督:オレリー・デュポン
台本:テオフィル・ゴーティエ、ジュール=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュ
音楽:アドルフ・アダン
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー(1841)
改訂振付:マリウス・プティパ(1887)、パトリス・バール、ユージン・ポリャコフ(1991)
装置:アレクサンドル・ブノワ
装置製作:シルヴァノ・マッティ
衣装:アレクサンドル・ブノワ
衣装製作:クローディ・ガスティーヌ

指揮:ベンジャミン・シュワルツ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

ジゼル:レオノール・ボラック
アルブレヒト:ジェルマン・ルーヴェ
ヒラリオン:オドリック・ベザール
ウィルフリード:セバスチャン・ベルト―
ベルタ(ジゼルの母):ニノン・ロー
クールランド大公:ヤン・シャイユー
バチルド姫:エミリー・アスブン
ペザント・パ・ド・ドゥ:エレオノール・ゲリノー、フランチェスコ・ミュラ
ミルタ:オニール八菜
ドゥ・ウィリ:ナイス・デュボスク、ビアンカ・スクダモア


フランス男はセクシーだな〜〜〜って思いながら見てしまうジェルマン・ルーヴェ。お顔が端正というのもそうなんだけど、立ち居振る舞いが本当に格好いいんだよなあ〜〜〜。さすがはパリオペのエトワール。
ジゼルは元々好きな演目なんだけど、どのシーンが好きかというと
・バチルド姫とのことがバレ、ジゼルに「どういうこと!?」と詰め寄られたアルブレヒトがおそらきれいと化すところ
・ジゼルが死んで逆上し、「お前のせいだぞ!」とヒラリオンに詰め寄ったアルブレヒトが「いやお前がやったことだろ!」と当然の反論を食らうところ(しかもヒラリオンが「やるならやれよ!」と漢気を見せてしまうという)
・ヒラリオンが死ぬところ
です。ここが好きな人は私以外にも多いのではないかと勝手に思っているのですがどうでしょうかねえ。ヒラリオンが死ぬところは人気ありそう! 踊りがすごくイケてるもんね。

今回のおそらきれいシーンも、ジェルマン・ルーヴェはあんなにイケメンなのに見事な地蔵状態で、見ていてにこにこしてしまいました(すみません、地蔵状態のアルブレヒトが好きなので…)。いつも思うことだけどアルブレヒトは本当に愚かな奴だな〜。ただ、彼は頭が悪く何も考えていない子供だっただけで、悪気がなく素直というところが「こいつクソだな死ねばいいのに」と観客に思わせないポイントだよなって感じます。いや、死ねばいいのにと思う人もいると思うけど。

それまでのジゼルとアルブレヒトの初々しい踊りが本当に可愛らしくて微笑ましくて、以降のジゼル狂乱シーンは結構見ているのがつらかったです。痛々しい。やっぱアルブレヒトはクソだな。まあこの時点まではさ。

そういえばパリオペ版ジゼルは、ジゼルが大公の隠し子という設定だそうなので、ジゼルとバチルド姫で姉妹〇かって思っちゃったあああすみません。今回の記事はいつにもまして下品ですね。折角のパリオペなのに。ただ物語が終わった後アルブレヒトがバチルド姫と結婚するかどうかは、どうなんでしょうね? バチルド姫の方がお断りなのでは? という気もしますね。こういうスキャンダルを起こした男という評判を度外視しても結婚する価値のあるお家ならこのまま結婚するでしょうが、はて。

ジゼルもアルブレヒトもパリオペのエトワールなので踊りは当たり前ですが言うことなしって感じで、ジゼルは可憐で可愛らしく、アルブレヒトはお茶目に可愛いところがありつつセクシーでした。
ヒラリオンも切れがあり、細かいところまでしっかり踊りきっているという感じで好感度の高い踊りでした。ヒラリオン、あんまり粗野な感じのキャラクターではなかったです。こういうヒラリオンは今風で私は好きなんですが、そうすると最後死んじゃうところが可哀想ですね。まあ仮にヒラリオンが粗野な野郎であってもアルブレヒトの方が有罪だと思いますけどね。ジゼルが死んだのはヒラリオンのせいではなく全てアルブレヒトがアホだったからでしょう。
ペザントも素晴らしかったです。元々振付が凝っていて可愛いっていうのもあるけど、それをやっぱり優雅に丁寧に踊りこなしていて、超絶技巧! っていうのではないのですけど、もっと見ていたいと思うような踊りでした。この人たちはそのうちエトワールになるかな? などと勝手に思ったりもしました。とってもお気に入り。
踊りの中のパリオペらしい優雅さは、特に上半身が分かりやすかったです。背中や腕の使い方が本当に綺麗で心地良い曲線になっていて、ひらりひらりとしているのにくねくねしてない、みたいな。表現するのが難しいな。

2幕はミルタを楽しみにしていました。厳しく迫力のある、舞台を大きく使って踊る素敵なミルタでした。ミルタ、いっぱい踊りがあってすごい。亡霊だけどすごく存在感があるというか、華があるって言えばいいのかなあ。とにかく目が惹きつけられる。もうちょっと近い席で見たかったな〜と、5階サイド席であるということを少し悔やみました。
そして暗い舞台にぼうっと浮かび上がる白い幻想的な装束のウィリたち。結構、ウィリたちは揃ってなかったですね。ひとりひとりの立つ間隔とか位置とか、上げる腕や足の角度とか。ここはもっと揃っている方がより幻想的な気がします。ぴょこんってはみ出して立ってると気になっちゃうよね。

そして1幕でアホの子だったアルブレヒトも、悔やんでも悔やみきれない大きな後悔を携えて登場しています。遅いとはいえ内省を経て一人前の大人になりつつある青年らしさが表れています。
この時のアルブレヒトにはジゼルは見えているのかいないのか。見えていても触れることはできない、なのか。解釈は分かれるような気もしますが、見えているようで見えていないけれど存在を感じている、という感じかなあと思っています。
手を伸ばし合って触れ合いそうになって、やっぱり触れられない…、切ないジゼルとアルブレヒトの踊りでした。見えていなくても彼女の愛に守られて、その愛は報われないままに死んだウィリたちの強烈な復讐心に勝り、あの厳しげなミルタさえ退けるという。
この夜がジゼルとの本当の別れであるとアルブレヒトには分かったと思います。1幕の頃とはまるで別人のような余韻を残して、舞台は幕を閉じました。素晴らしいジゼルでした。5階サイド席とはいえ、見てよかったです!

あと今回、プログラムの内容がかなり良かったです。
バレエの中で人間を描くようになったのは20世紀に入ってからかなと思いますが、それ以前のロマンティックバレエやクラシックバレエで人間を描くような内容って、パッと思い付くのがジゼルと白鳥の湖くらいかなって思ってたんですけど、ジゼルがどうしてそうした人間を描くような優れた台本を持っているかということがとても分かりやすく書いてありました。

では次はオネーギン!
posted by 綾瀬 at 19:14| Comment(0) | 雑記・バレエ
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