バレエの感想、せめて1ヶ月遅れに早く追いつきたい。というわけでベルギーから帰国できるのか!? という記事の途中ですがバレエの感想がちょっと続きそうです。ゆーてまあ今日本にいるわけだけどさ。
というわけで、2020年2発目のバレエ鑑賞は、新国のニューイヤー・バレエ、ガラ公演です。順番にいきまーす。
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芸術監督:大原永子
指揮:マーティン・イェーツ
管弦楽:東京交響楽団
セレナーデ
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ステージング:パトリシア・ニアリー
キャスト:寺田亜沙子、柴山紗帆、細田千晶、井澤駿、中家正博、渡辺与布、飯野萌子、川口藍、中田実里、赤井綾乃、今村美由起、加藤朋子、菊地飛和、北村香菜恵、小村美沙、関晶帆、中島春菜、原田舞子、土方萌花、廣川みくり、山田歌子、横山柊子、宇賀大将、清水裕三郎、趙載範、浜崎恵二朗
抽象バレエってどうしても苦手で、すぐ眠たくなってしまう…というダメダメ子だったのですが、ある日急に、抽象バレエの難しいことは考えないでただ動きの美しさとか格好良さとかだけに「わーきれー! わーかっこいー!」とか思っていればよいのでは? と思い至り、そこから急にバランシン作品が好きになりました。どういうこっちゃ。もちろん、全部は見れてないけど…好きなのはジュエルズです。特にルビーが好きです。難しいことは、もうちょっと頭がよくなってから考えればいいかな、なんて…。来世に期待だね。
で、抽象バレエに対してのATフィールドがぐんと薄くなった状態での初めての抽象バレエが今回のセレナーデ。
いや〜、綺麗ですねえ。フォーメーションの類い稀なる美しさ。それから緊張感。たまらんわあ。
セレナーデって本当に緊張感がありますよね。神々しいような静謐。一瞬でも波紋が生じればこの美しさは台無しになってしまうのではないかというような。そんな中で、反逆? というわけじゃないですけど、ひとり、周囲と違う動きが発生する。その孤独と戸惑い。とてもどきどきします。それを契機に、それまでの一糸乱れぬ調和から外れた動きが次々発生して、そのひとりひとりにやっぱり何らかのドラマを感じてしまう。
温もりがないわけではないけど、何だかどんどん温度が下がっていくようで。でも、破局もあれば救いもあるような、だけど最後はやっぱりどこかひんやりとして終わる、みたいな。私が単にそう感じているというだけで、的外れかもしれませんが。
いずれにせよセレナーデ、また近いうちに見たいなあ。今書いていて本当にそう思う。
秘められたドラマが少しずつほのめかされているの、もっと何度も見て自分なりの解釈をしてみたい。
幻想的でありながら躍動感のある振付は、新国ダンサーの皆さんにもとても合っていたと思います。美しい舞台でした。
ライモンダよりパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
改訂振付・演出:牧阿佐美
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
ライモンダ:小野絢子
ジャン・ド・ブリエンヌ:福岡雄大
これはGPDDなのかと思ってたら、アダージョだけでした。なのであっという間に終わってしまうという。綺麗な踊りだけどほんとすぐ終わってしまったので、えっこれだけ!? という感想だけが後に残り、申し訳ないんですけどあまり印象に残りませんでした。綺麗だな〜という印象だけは残ったとも言えるかな。
海賊よりパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:リッカルド・ドリーゴ
メドーラ:木村優里
アリ:速水渉悟
こちらの海賊は、ライモンダと違ってGPDD形式でした。なので男女とも見せ場たっぷり! そして元より、振付が華麗で技巧的というのもあって、会場も盛り上がりました。男性側、アリは大きなミスもなく、技も決まって爽快感がありました。こんなふうに宙を舞うように踊れたら楽しいだろうなーなんて、自分には当たり前ですができないので、想像だけしてみたり。
女性側、メドーラはなんか変なタイミングで肘や手首をくねくねさせるのがちょっと気になりましたが、もしそういう振付だったらごめんなさい。なんかすごく特徴的だったので。最大の見せ場のグラン・フェッテ、トリプルもガンガン入れて張り切って盛り上げてくれていたのに、変な手拍子する奴のせいで(?)失敗してしまったのが気の毒でした。変な手拍子マジでやめて…。ニューイヤー・ガラというお祭り演目にふさわしく盛り上がっていたのに、曲に合っていない変な手拍子本当に残念でした。でも手拍子する側からするとお祝儀みたいなものかもしれないので、そういう気持ちは勿論否定しませんが…、デモヤメテ。
DGV
振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:マイケル・ナイマン
美術・衣装:ジャン=マルク・ピュイサン
照明:ジェニファー・ティプトン
振付指導:ジェイソン・ファウラー
第1区:本島美和、中家正博
第2区:小野絢子、木下嘉人
第3区:米沢唯、渡邊峻郁
第4区:寺田亜沙子、福岡雄大
コールド:
池田理沙子、木村優里、奥田花純、玉井るい、広瀬碧、益田裕子、朝枝尚子、廣田奈々、井澤諒、福田圭吾、速水渉悟、原健太、小柴富久修、中島駿野、中島瑞生、渡邊拓朗
コンテです。これすっごく良かったです! 是非また再演して欲しい!
疾走感のある作品です。それで、旅って、人生って、こういう感じだよな〜って、私が海外でひとりで特急に乗ってる時のような気分になりました(でも私ってTGV乗ったことあったっけ? 前回フランス行った時どうだったかな…。確認しないと分かんないけど、ケチだからTGV乗ったことない気がしますが・笑)。
何が旅ってこういう感じって、窓の向こうの背景がどんどん流れていくんです。手前ではソリストが自分たちを表現して踊ってる。その背景では、また別の人たちが自分たちの踊りをしている。交わらない、窓の向こうに通り過ぎていくだけかもしれない、自分ではない人たちの人生がどんどん現れては消えていく。自分たちは自分たちの人生を生きるけど、窓の向こうの人たちは、その人たち自身が主役である別の人生を生きている。旅をするということには少しの孤独はあるけれど、そうやって止まらずに人生は進んでいく。それはスリリングでやっぱり楽しい! って感じが、すごく旅だ! 人生だ! って感じで、照明やセットが格好いいのも素敵で、とにかく気に入りました。なんか読点ばっかで読みづらくてすみません。
最後、リフトのミスとかもありましたが、大きく、しなやかに、肉体がよく動いていて、一瞬も退屈しませんでした。非常に躍動感のある振付、そしてダンサーの演技でした。
あと太鼓が加わって音楽が最高潮に達していったところ、なんかちょっと和っぽくて面白かった。も、もしかして和太鼓?
と、今回はふたつのパ・ド・ドゥと、20世紀を代表する大振付家バランシンの名作、そしてバランシンやマクミランに見込まれた新進気鋭の振付家のウィールドンの意欲作を一堂に見ることができて、大変満足度の高い公演でした。ウィールドンさんは、きっと21世紀を代表する振付家になるでしょうねえ。ほんとによかった。ウィールドンさんの振付の冬物語、1幕がかなり好きで2幕がちょっとビミョーなんですが、そんなこと言わないで次回シネマでもいいから見る機会があったら2幕も真面目に見ようと思います。
そんで、こういった意欲溢れるコンテ(いやコンテ以外も)はどんどん日本に紹介して欲しいと思う。後でそのうち記事を書くと思うけど、このしばらく後で見に行ったアリーナ・コジョカル ドリームプロジェクトというコジョカル様の座長公演で、ナンシー・オスバルデストンさん振付・本人出演のエディットという新作が上演されたんだけど、これは時間自体は短い小品でしたが、内容はとても素晴らしかったです。もちろん、日本の振付家もどんどん作品を発表できる機会が増えるといいな。新国では、そういう意味では色々取り組みをしてくれているから、なるべく見に行ける公演は見に行きたいと思います。
あと意欲的な作品って言うと、NBAバレエ団が私はいつも気になっていて、ここも見に行く機会を増やしていきたい。
ちと話がずれましたが新国はダンサーのレベルが本当に高く、今回はちょっとミスも目立っちゃいましたが、それでも総じてストレスなく見れるのが素晴らしいです。なんだろ、ミスがあっても、それ以外にいいところがいっぱいあったから期待を下回らないって感じ? かな??
そして音楽も安定していいです。今回はイェーツ先生の指揮ですが、バクラン先生もイェーツ先生も安心と安定のバク&イェ(失礼ながら略してしまった)。前回のキエフ・バレエの記事で書くの忘れたけど、あの回のバクラン先生の指揮もとても素敵で、物語を盛り上げるための引くところ・持ち上げるところの塩梅がすごくよかったです〜。ちょっと演歌の世界? 日本人好みではないでしょうか!!
2020年03月04日
1/12 新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」
posted by 綾瀬 at 18:41| Comment(0)
| 雑記・バレエ
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