バレエ鑑賞が続いています。
チケットがお高かった(まだ言う)ミハイロフスキー劇場バレエ来日公演、2演目目は眠りの森の美女です。最初はパリの炎だけにしておこうかなって思ってたんだけどさあ〜、何だかんだで眠り好きで、やっぱり見たくて…。
芸術監督:ナチョ・ドゥアト
作曲:ピョートル・チャイコフスキー
振付:ナチョ・ドゥアト
舞台美術・衣装:アンゲリーナ・アトラギッチ
照明デザイン:ブラッド・フィールズ
指揮:パーヴェル・ソローキン
管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー
オーロラ姫:アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ
デジレ王子:エルネスト・ラティポフ
リラの精:スヴェトラーナ・ベドネンコ
妖精
純真の精:マリア・ドミトリエンコ
小麦花の精:エカテリーナ・オダレンコ
パンくずの精:エラ・ペルソン
カナリアの精:サビーナ・ヤパーロワ
勇気の精:オルガ・アルセニーナ
カラボス:ファルフ・ルジマトフ
フロレスタン王:アルチョム・マルコフ
王妃:オリガ・エミョーノワ
宝石
サファイヤ:オルガ・アルセニーナ
アメジスト:エカテリーナ・オダレンコ
ゴールド:田中美波、ジュリアン・マッケイ
仔猫:エフゲニア・チェトヴェリコヴァ
牡猫:アレクセイ・クズネツォフ
フロリナ王女:サビーナ・ヤパーロワ
青い鳥:イワン・ザイツェフ
赤ずきんちゃん:エカテリーナ・クレンコーヴァ
狼:セルゲイ・ストレルコフ
キャスト多いのでこの辺で…。
さて日本初演となるドゥアト版眠りですが、結論から言うと私はかなり好き! でも不満なところもある! でもドゥアトの、クラシックの文法とコンテ的な表現方法を融合させたクラシック演目かなり好き! もっと見たい! って感じでした。
不満を先に言っちゃおう。ローズアダージョと青い鳥〜〜〜!
ドゥアト版は、メッセレル版パリの炎もそうだったけど、とにかくサクサク話が進みます。ちょっと退屈しそうな、ややもするとストーリーが停滞しかねないような踊りはカットカットカットって感じでした。なので、私のようにあまり鑑賞歴も長くない人間にはどんどん話が進むのと、ドゥアトの振付がかなり何を表現したいのかストレートで分かりやすいというのもあって、わくわく見ているうちにあっという間に終わってしまったのですが、でも、そこはカットしなくてもいいんじゃない〜〜〜??? というところもあったのです。それがローズアダージョと青い鳥。
ローズアダージョはさすがに丸々カットではなく、振付が簡易版っていうか、言うなれば廉価版って感じになっていまして、一番の見せ場は残ってたけど、まあローズアダージョはみんな大好きお楽しみだしプティパの振付に忠実な感じでやってくれてもよかったんじゃ…と思いました。ちょっとさみしー! オーロラの魅力フルに振り撒くところだし、ここはあっさりじゃなくこってりでもよかったよ〜!
青い鳥は、通常GPDD形式で踊ると思うんですが、バサッとカットしてこちらも短縮版でした。アダージョはあり、男女バリエーションはなんか廉価版w、コーダほぼ無し。だったかと(覚え違いしてたらすいません)。青い鳥もさ、みんな大好きお楽しみ(こればっかり)だしフルにやってくれてもよかったのに〜! と思いました。
あともうひとつ書いちゃおう。3幕ではオーロラとデジレの結婚を祝福するために色々な童話の登場人物たちがお祝いに駆け付ける有名なキャラクターダンスのシーンがあると思いますが(青い鳥もそう)、青い鳥をカットした分他の登場人物が沢山踊ってくれるのかな〜と思っていたのにそんなこともなく。白猫、赤ずきん、短縮版青い鳥、は踊ってくれたけど、シンデレラ、カエルの王様、美女と野獣カップルは踊ってくれず。え〜、このカップルたちも踊ってほしかったな〜。順番的にはカエルの王様、美女と野獣、シンデレラ、だったらストレートにオーロラとデジレのGPDDにつながるし。美女と野獣とシンデレラは逆でもいいけど。ドゥアト版に限らず、お祝いに来るだけで踊ってくれない童話の登場人物たちはよくいるんですが、来たからには踊らんかい!!!??? といつも思うのです。ドゥアトの振付でこのカップルたち見たかった。特に定番のシンデレラは踊ってよかったのでは?
よかったこと。フロレスタン王と王妃も踊る。若く仲良しな夫婦いいねえ! って思った。そして華やかな宮廷楽しそう。オーロラに祝福を授ける妖精たちの踊りの時短技(ちょっと面白かった。前の妖精がまだ踊ってるのに、次の妖精がすでにスタートポジションについて待機)。あと、妖精たちがカレピ付きで登場。カレピかどうか知らんけど、とにかくお付きを引き連れて登場してからのソロバリエーションでメリハリがありました。そしてカラボスの登場シーンの鮮やかな転換。舞台の真ん中に突然登場するカラボスすごかった。衣装、舞台装置は流石の美しさ。宮廷人たちの艶やかで豪奢な衣装、本当によかったです。妖精たちのチュチュも可愛かったし。童話の登場人物たちの衣装も綺麗で可愛い。あと、オーロラが眠っている間の100年の時間が貴婦人たちの衣装でも表現されていて面白かった。装置も美しくて、特に3幕の初めのところで大きな窓のようなところから童話の登場人物たちが舞台をのぞき込んでいるのはめちゃくちゃ可愛かった。ただ私の選んだ席がいまいちな座席で見切れが多く、残念(これは自分のせい)。見切れといえば、そのせいなのか、2幕のラストでオーロラがデジレにキスされて目覚めるシーン、多分オーロラが目覚めると茨が一斉に薔薇に変わるような演出だったと思うんだけど、なんか暗くてよく見えなかった。この辺の席だとこれくらい見づらい、ということがよく分かり勉強にはなりました。次はもっと見やすい席にする! お小遣いと相談ですがー。
ヴォロンツォーワ演じるオーロラ姫は、可憐で可愛くて溌溂として明るくて、これぞオーロラ! という魅力にあふれたお姫様でした。華やかでしたねえ。ローズアダージョでも毎回腕をアン・オーの位置に戻して頑張っていました。王子の手を取るときの手付きも優美で可愛かったです。可愛い姫を見ると恋してしまいそうになりますねえ〜でへへ。気持ち悪くてすみません。私ボリショイのスミルノワ様大好きなんですが、スミルノワ様大好きとはいえスミルノワ様のオーロラには特に恋しないので、ヴォロンツォーワのこのオーロラの個性、これからも大切にしてがんがん発揮していただきたいと思いました。
ラティポフ演じるデジレは、オーロラに比べるともう少し生身の人間らしさがある。そういう意味では住む世界の違う二人のカップル…という気もしないでもないですが、かといって完全に現実世界の人間というふうには演じられていないので、100年の年の差かな・笑
オーロラより少し生身の人間らしさがある、とはいえ、彼はちゃんと王子でした。悩める王子。レベデフほどの優美さは感じませんでしたが、品のある、王子らしい踊りで好印象でした。
ベドネンコのリラの精。端正な踊り。2幕、デジレを導くシーンでは堂々とした威厳を感じました。
ルジマトフのカラボス。忘れ去られた怒りを爆発させる素晴らしい怪演で、カラボスのようなキャラクターはこういう人に演じられてこそ舞台が生きると思いますが、だからこそ始末に困るというのも確かにそう。だって愛とかで倒されそうにないもん…。強い。圧倒的に強い。上半身が特に(ムキムキの筋肉が窺える衣装も上半身が強いと思う理由のひとつかも)。
あとは印象に残ったのは、2幕の冒頭で気鬱な感じのデジレを慰めようと踊りに誘う貴婦人。舞台袖にはけていく時も最後まで王子を気にしていて、彼女がデジレのことを本当に慰めたいと思っているのが伝わる演技。でも残念ながらどんなに彼女が元気づけようとしてもその思いは報われることなく…切ない。
そして全体的になんですが。実は、数日前にパリの炎を見た時は、超絶技巧を披露できる人もいれば正直へなちょこなテクニックのそこそこ人もいるな〜って思っちゃったんですね。でもこちらの眠りは、へなちょことは感じなかったんです。なんでだ。踊りこなしている回数とかか? 分かんないけどさ。眠りでは、抜きんでた超絶技巧の人はいませんでしたが(まあ振付の関係もある)、基本的に全体が一定水準以上の安定したテクニックと感じました。安心して見れました。
土壇場でのキャスト変更とか、チケットが高かった(まだ言ってる)とか、色々あったけど来日公演すごく楽しかったし、また来てほしいし、ミハイロフスキー現地に行きたいって思ったし、いい舞台でした。よかったです。
ドゥアトのクラシック振付がかなり私と相性が良いということも分かったので、これからも沢山見られるといいな!
2019年12月16日
11/24 ソワレ ミハイロフスキー劇場バレエ「眠りの森の美女」
posted by 綾瀬 at 23:21| Comment(0)
| 雑記・バレエ
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