2018年06月17日

6/9 ソワレ K-BALLET COMPANY クレオパトラ(1)

6/9(土) K-BALLET COMPANY「クレオパトラ」を見てきました。

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とっても鮮烈で印象に残る女王クレオパトラのキービジュアル。
眼差し、メイク、衣装、美しい肢体、公演に対する期待が掻き立てられます。

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ポスターは他にも何種類かありました。写真に撮りきれなかったのもあった。

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プログラムは2,500円でした。いい紙使ってるし内容もそれなりに充実してるけど、まあ高いよね。1600円くらいにならんかね(前も似たようなことを言っている…)。だって最後の11ページくらい広告だし(バレエ団関連の広告は除く)。意外と見るところが少ないのよね…。使用楽曲のセトリが欲しいところだ。
いや、文句ある人は買わなきゃいいだけだけどさ。写真が充実しているのと、場にまで分かれた詳細なあらすじと、楽曲の作曲者ニールセンについてのコラムは良かった。

えー、それはさておき。
公式サイト 公演情報
アンチBunkamuraなので(すみません)、東京文化会館の公演を選びました。3階席の一番前の席で、ちと遠いけど意外と見やすかったです。でもオペラグラスは必須ですね。私は目が悪いので、オペラグラスがないと小道具とかが何かよく分からない時もありました。
3階席は初めてだったんですが、結構気に入ったので今後も公演によってはアリだな。次は2階席を試してみたい。勿論一番いいのは1階席の見やすいところだけど。オペラグラス使うのめんどくさいし。

芸術監督/演出/振付/台本:熊川哲也
音楽:カール・ニールセン
舞台美術:ダニエル・オストリング
衣装:前田文子
照明:足立恒
指揮:井田勝大
演奏:シアターオーケストラトーキョー

クレオパトラ:中村祥子
プトレマイオス:山本雅也
カエサル:スチュアート・キャシディ
アントニウス:栗山廉
オクタヴィアヌス:遅沢佑介
ポンペイウス:ニコライ・ヴィユウジャーニン
ブルータス:伊坂文月
オクタヴィア:矢内千夏

K-BALLETを見るのは初めてです。本作「クレオパトラ」は熊川哲也監督の演出・振り付けによるK-BALLET COMPANYオリジナルのグランド・バレエとして昨年2017年に初演されたものの再演です。
あの有名な古代エジプトの女王クレオパトラの人生をバレエの舞台の上に再構築した大作で、素晴らしい作品でした。

まず、幕が開きまして。
どーんと、古代エジプトの壁画調の横顔(の、涙を流す目のアップ。ホルスの目だね)が描かれた紗幕。
カール・ニールセンによる主題曲(「アラジン組曲より」)が出だしから力強く演奏されます。とてもインパクトのある曲です。この衝撃的な曲との出会いがバレエ「クレオパトラ」として結実した旨がプログラム等で語られていましたが、さもありなむと納得のいく楽曲です。このバレエのために作られた曲としか思えないほどのシンクロシニティ。クレオパトラのテーマ。
圧倒されつつどきどきしながら見守るうちに、紗幕の向こうに映し出される女王の堂々たるシルエット。
美しく、完璧に完成された演出だと思いました。

今回、3階席だからというのももしかしたらあるのかもしれないですが、音楽がすごく大きく、豊かに広がって聞こえました。低音の音の割れ方が趣味じゃないところもあったのですが、いやーでも低音かっこよく響いてました。金管も木管も弦もズコーみたいな瞬間がなかったわけではないのですが、総じて音楽に対しての満足度は高かったです。褒め過ぎかも。

プロローグが終わり、本筋が始まりますと、まずはクレオパトラの夫にして弟で共同統治者のプトレマイオスが登場しました。一目で分かる、「あ、こいつダメな子だ」感。ガキで、努力が嫌いで遊び好き、でも自尊心はとってもたかーい! というのがすごく伝わってくる。
どうでもいいが、ガキで努力が嫌いで遊び好きで自尊心は高いというキャラ付けにはシンパシーを感じる…。自分のようだ(おお…)。
プトレマイオスがぴょんぴょん飛び跳ねてるところとか、ほんと、王様としてはダメダメね、というのがよく分かって、そうは言ってもまだ若いんだからしょうがないのかなーという共感っぽい感情も湧いてきて、いよいよクレオパトラが登場してビビるプトレマイオスには一緒にビビってみたりもして…。
こんだけダメダメとか言っておきながらクレオパトラに威圧されるプトレマイオスにはちょっと同情もしてしまう。山本雅也さんが実に好演されていたと思います。

そして中村祥子さん演じる女王クレオパトラ。怖い・笑
でも、怖いクレオパトラは主に一幕だけかなと思った。二幕のクレオパトラは、栄華の後には後ろ盾を次々と失い悲嘆にくれ、やがて避け得ない破滅へ向かっていく、その悲痛な姿が格調高く描き出されていて、一幕のおっかないクレオパトラはインパクトがものごっついんだけど、私は二幕の運命に翻弄されるクレオパトラの方が好きだな。

一幕で印象深かったのは、エジプトの壁画のポーズ(片方の掌を上、もう片方の掌を下に向けて、体は正面を向いているけれど顔は横向きで…ってやつ)で女官たちがわーっと出てくるところと、神殿男娼たちの踊りです。
壁画のポーズの女官たちが出てくるところは本当に衝撃的でぎくっとしました。おお、古代エジプトが、あの壁画の世界が今自分の目の前に!
古代エジプトというのが空想の非現実の世界でなく、自分がその世界で今生きているかのような気分がしました。同時に、古代エジプトという遠い世界が、今自分が生きている現実のこの現代に繋がっている実感のような、不思議な矛盾した感覚が湧き起こりました。変な表現ですが。
客席と舞台を一体化させて、観客に舞台の中の世界を体験させるようなはたらきがありました。

そして神殿男娼たちの踊りですが、これは女王クレオパトラが6人の男娼たちの中から一夜の情事の相手を選ぶ踊りと、その後の実際の情事の踊りです。

6人の男娼たちが自分を選んでもらうためにアピールする踊りはキレッキレで、すごい運動量で(いや運動量の少ない踊りはそもそもそうないでしょうが)、純粋に見ていて楽しい。全員で引っ繰り返って手足バタバタさせるところはちょっとゴキ〇リみたいな動きで(なんか虫っぽいのよ。甲虫っぽい)ヒイッってなったけど、とにかくキレが良くて面白かった。なのにキャスト表に載っている神殿男娼はクレオパトラに選ばれたひとりだけで、全員は載ってないのだ〜。載せてください。

そんでその後の情事ですが。「クレオパトラ」には直接的な性表現が大胆に取り込まれていました。えっちなバレエといえばロイヤル(ていうかマクミラン)…と思っていましたがそれどころの話じゃない。ちょっとびっくりしたのは事実ですが、バレエが性表現をしてはいけないわけは勿論ないし、これがなければこの舞台のクレオパトラは随分とぼやけたクレオパトラになってしまうと思います。
そんでもって官能的な一夜の後、女王は自分が選んで寝た男娼に毒を飲ませて殺してしまうの。男娼は逆らわず、従容と死んでいく。

えーっと全然関係ないんですが、以前ボリショイシネマで「パリの炎」を見に行った時、近くの席のマダム(上演中煩くって、マダムとか呼びたくないが)がKバレエのファンのようで、そんでお好きなダンサーが神殿男娼を演じておられたようで、しきりと「クレオパトラの性奴隷」という言葉を連呼しておられて、性奴隷なんて言葉エロ漫画でしか見たことねえわ…音声で聞くの生まれて初めてだわ…と思いながら「パリの炎」を見ていたんですが、性奴隷というか、実際舞台を拝見すると、クレオパトラと一夜を共にできるなら死んでもいい、むしろクレオパトラと寝たという最高のタイミングで死にたい、くらいの神殿男娼たちでした。まあ性奴隷だけどさ。蠱惑的で魅力的で官能的でどうしようもなく恐ろしい女王です。

男娼を殺した後のクレオパトラが印象深かったです。何と言いますか、倦怠のようなものを感じました。何もかもかったるい、男を殺すのも何となくそうしただけ、深い意味があったことじゃない…というような。それは女王の孤独ではあるのでしょうが、孤独よりも退廃、そして人生の停滞のような印象がありました。

しかしその停滞したような女王の運命に変転が。
プトレマイオスとの対立(謀反のように見えるプトレマイオスの哀れさ)がローマからの逃亡者、ポンペイウスの登場によって一気に進展する。ポンペイウスは殺され、クレオパトラは王宮を追われる。
ポンペイウスの行方を追って遂にカエサルが登場。カエサル役のスチュアート・キャシディさんはすごく合っていました。カエサルというとスケベなハゲというイメージの日本人も多いのではないかと勝手に思い込んでいますが、キャシディさん演じるカエサルは威厳や重々しさがあり、色好みではあるかもしれないがスケベなハゲではない。この場合の色好みっていうのは何度も言うけどスケベとゆー意味ではなく、女性をよく愛することを知っているという意味です。シュッとしたヒーローではないけど、格好いい壮年のおじさまでした。

カエサルが登場すると、案内人(宮廷道化師的な役割です。クレオパトラのアニムスかなとも思いました)の差配にて、カエサルをもてなすための宴が設けられます。そこではエジプシャン美女たちが次々と踊る場面があり、色々なタイプの踊りが見られて好きなシーンでした。衣装も全員違ってたし。華やかで可愛くてよかった。
んが、カエサルは満足せず、満を持して登場したのが絨毯に包まれて運び込まれてきたクレオパトラ。有名なエピソードですねえ。エジプシャン美女たちには「ふーん」って感じだったカエサルも一目でクレオパトラに魅了され、まさに一撃ノックアウトといった感じで二人は結ばれます。プログラムのあらすじには「クレオパトラもまた勇猛果敢なカエサルに惹かれ、ふたりは恋に落ちる」と記載されていたのですが、私はやはりどーもカエサルばかりが夢中になって、クレオパトラは後ろ盾を得る手立てとして彼を誘惑しただけに感じましたが、どうかな。見る人によって受け取り方は色々かな。とにもかくにもこうして自分自身を貢物として最高権力者に与えることでゆるぎない後ろ盾を得たクレオパトラは反撃に転じます。

一方、クレオパトラを追い落として調子こくプトレマイオス。人としてやってはあかんことをやらかす。やはりこいつはダメダメだ。最初に登場した時はちょっぴり可愛らしいダメダメさだったのが、狂気方面にダメダメさの舵を切る。こいつはほっといてももう滅びるな…という感じですが、案の定更にやらかす。
そのやらかしはクレオパトラとカエサルに反撃の大義名分を与え、プトレマイオスは破滅。死に至ります。
こうしてクレオパトラは女王に返り咲き、一幕が終了。

長くなってきたので二幕の感想は次の記事で!
posted by 綾瀬 at 15:55| Comment(0) | 雑記・バレエ
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