2018年03月18日

3/17 NBAバレエ団 海賊

バレエづいておりまして。
3/17(土)NBAバレエ団 海賊(久保紘一版)を見てきました。

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NBAバレエ団 公式ホームページ

公演案内ページ内 海賊

大変な意欲作です。
芸術監督・演出・振付:久保紘一
作曲:新垣隆
音楽監修・指揮:冨田実里
振付助手:宝満直也
剣術指導:新美智士

配役
コンラッド:宮内浩之
メドーラ:峰岸千晶
ギュルナーレ:佐藤圭
パシャ・ザイード:宝満直也
アリ:奥村康祐
ビルバンド:大森康正

17日、18日に1日1回ずつ、合計2回の公演で、ダブルキャストでした。私は初日を観劇。
今回のNBA 久保紘一版「海賊」は、既存の古典作品の「海賊」を丁寧に改作した作品で、一般の「海賊」とはシナリオも結構変わっておりました。
久保紘一版「海賊」のあらすじを公式サイトから引用します。

--------引用ここから--------
舞台は19世紀初頭ギリシャ。コンラッド率いる海賊たちの潜む島に、ハープの音色が響いていた。コンラッドが愛するメドーラの歌声はどこか悲しげに聞こえる。コンラッドは、オスマン軍に潜入させていたスパイからこの島への襲撃計画を聞き、仲間を率いて奇襲攻撃を仕掛けるため出発する。

一方のオスマン軍の駐留地であるコロンの港街では、勝利を確信し、前祝いが開かれていた。パシャ(高級軍人の称号)のザイードは、一番のお気に入りである奴隷のギュルナーラと踊っていた。

そこへ僧侶に変装したコンラッドが近づき、ザイードの暗殺を試みたのであった。しかし、ザイードはギュルナーレを盾にしたため、あと僅かのところでザイードを取り逃がしてしまったのであった。この戦いの中救出されたギュルナーラは、修羅場をくぐり抜けてきた冷酷さと燃えるような情熱を合わせ持っていたコンラッドの瞳に一瞬で心を奪われたのであった。しかし、彼には愛するメドーラがいることを知り、火のついてしまった自分の想いに苦悩するのであった。

夜が明け、海賊たちが救出した娘たちと共に盛り上がっていたのも束の間、オスマン軍の逆襲にあう。ザイードは海賊たちを縛り上げ、コンラッドを殺せば見逃してやると条件をつきつける。沈黙の中、ある1人の海賊が声をあげた。裏切ったのは、非情にもコンラッドが信頼するビルバンドであった。苦しむコンラッドの元へ愛するメドーラが駆け寄ると、ザイードはその美しさに目を奪われて彼女を連れて去ってしまうのであった。
やがて、生死の境から目を覚ましたコンラッドは、、キュルナーラの懇願を振り切りメドーラの救出へ向かうのであった。
--------引用ここまで--------
(2018/3/18 NBAバレエ団公式サイト内より引用)

今回、何がすごいって、いっぱいあるけど、真っ先に着目したのは音楽が新垣隆先生の手によって新しくなったことです。ひえー。これは見に行かなければ! と思ってチケットを買いました。
既存の「海賊」の楽曲は、「海賊」のために作られた曲でなく、元あった曲を色々と集めてきて構成されているそうで、それを今回、新垣先生の新曲と新垣先生の手による既存曲の編曲によって一つにまとめ上げるとのことでした。

ここ、というところの定番曲と定番振付は残し、でもシナリオ含め、全体を大きく変えてきていました。
新垣先生の新曲と既存曲はよく調和して、どこかだけが浮き上がることなく、本当に綺麗にマッチしていました。プロローグ、というかOPと言いたいが、ここがプロジェクションマッピングを交えながらダンサーによって演じられ、それを迫力のある楽曲が大いに盛り立てるという構成で、後に続くバレエに対しての期待が高まりました。
格好いい曲だったなあ〜。
順番が前後しますが、全幕を見終わった後、サントラ欲しい!って思ったね。サントラお願いしますだ。

そして振付。
パンフ等によると、宝満直也さんは振付助手ということになっているけれど、実際は殆どの振付を手掛けていらっしゃるそうです。
曲と同様、ここ、という場面の振付は既存のものを活かしつつ、格好良かったりロマンチックだったりする振付が新規で取り入れられて、退屈する暇のない楽しい舞台でした。宝満さんの振付、これからNBAバレエ団でガンガン見られるってことだよね。古典全幕とか、完全新作とか、ガンガンやってほしい。ガンガン見に行きたい。

パシャ・ザイードとギュルナーレのパ・ド・ドゥがロマンチックですごく素敵に感じたなあ。もうギュルナーレはパシャでいいじゃん…人のもののコンラッド好きにならなくても…みたいな……。パシャ・ザイードを演じたのは振付の宝満さん自身で、パートナーに対するサポートが丁寧で優しくて、素敵な方でした。

パシャ・ザイードは普通キャラクテールで、まあ好色なおっさんっていう版が多いと思いますが、この久保版は格好いいパシャでした。ていうかさー、思うんだけど! 悪役だって格好よくあってほしい。格好いい悪役の方が盛り上がる。オタク的には。悪に徹するもよし、弱みを覗かせるもよし、情けないところがあってもよし、暗い過去やら同情すべき一面やら、そういうものがあってもよし、でもとにかく格好よくあってほしい! だからシャアだってあんなに人気あるんだろ!!
そういう意味では久保版のパシャは権力者らしい権力者で、傲慢で、花園の女の子を突き飛ばしたりするものの、部下を率いて勇敢に戦ったりして、本当に格好いいパシャだったよー。卑劣なところ、情けないところもあったけどね。
ちゃんと権力者らしく、自分の奴隷であるギュルナーレには気前よくじゃらじゃら真珠も与えてたしね。そういう気遣いができない権力者は駄目だね。ケチな悪役権力者とか見たくない・笑
強引で何でも自分の思い通りにする(嫌がるメドーラを連れ去るとか、踊らせるとか)けどお気に入りの女の子にはそれなりの扱いをする(メドーラに新しい装束を与えるとか)あたり、ハーレクインのヒーローのようだったよ。そうだね、君はもしハーレクインに出演していたら最後メドーラを心を通い合わせて幸せになっていたかもしれないね…。その場合ギュルナーレどうするんだ…コンラッドとくっつくしかないかな。何の話か。

そんなわけで格好いい悪役でお気に入り。衣装も映えてた。

あと、今回楽しみにしていたのが男性群舞。海賊たちによる群舞は迫力があって動きがキレキレで見ていて楽しくて、もっと踊っててほしいー終わらないでーって感じでした。
運動量の多いダンスで(バレエはみんなそうだけど、ニュアンスをくみ取ってください)、海賊たちによる群舞だから、言葉は悪いかもしれないけど荒々しい踊りなんだけど(雑という意味ではない)、端正な感じもして、とにかく楽しかったなー。
ビルバンドの大森さんの踊り、格好良かったなー。もっと踊ってほしいけど、ビルバンドの役割もあるからなー。

コンラッドの部下のアリは、本来はコンラッドの奴隷ではあるんだけど、版によってはコンラッドの友人とか部下とかという表現ですね。久保版も「部下」か「忠臣」という表記。やっぱりねえ、奴隷より忠実な部下っていう方が現代ではコンラッドのカリスマ性の表現にもつながると思うのですよ。
このアリは、新国立劇場バレエ団プリンシパルの奥村さんがゲストとして演じられました。当初、アリ役にはオーストラリアバレエ団プリンシパルのチェンウ・グォさんを招いていたそうなのですが、怪我のため降板となってしまったそうです。急遽代役として招かれたのが新国立の奥村さんと、これまたすごい人で、新国立は「海賊」をレパートリーに持ってないのもあって(多分。だよね?)、かなり貴重なアリになりました。
アリのヴァリエーションは男性ダンサーの魅力を引き立てる超イケな踊りなので、奥村さんのアリをとても楽しみにしていました。期待に違わぬ卓抜した技術で、回転は鋭くぶれず、ジャンプは跳躍距離が長く迫力満点で、とってもよかったよー。もっと拍手ほしかった。生まれて初めてブラーヴォって言った。でも度胸ないので超小声…。
アリの敬礼も格好良かったねえ。
奥村さんを見に新国立に行こうと思ったよ。今回、25列目くらいでちょっと遠目だったので、もっと近くで見たかったな。5月5日(土)の白鳥の湖でジークフリード王子、6月16日(土)マチネの眠れる森の美女でデジレ王子を演じられるようです。

色々思い付いた順番に書いてるから、アリの上司(笑)のコンラッドが後に来てしまった。コンラッドは紳士な海賊でした。海賊というよりギリシャ独立のための闘士だそうで、終始紳士。愛を告白するギュルナーレを拒否する態度も、あくまで紳士。とはいっても悪のパシャを倒すため、愛するメドーラを救うため、止めようとするギュルナーレを拒み、怪我を押して戦いに赴いてしまうのですが。哀れギュルナーレの思いは届かず…。この時のギュルナーレは可哀想。だってさあ、立場がないじゃん。この先どうやって生きていけばいいか分からないじゃん? パシャはDVクソ男でもう元には戻れないし(戻ってたまるか)、当面は海賊団にいさせてもらうにしてもコンラッドはメドーラと鉄壁のカップルだし、それを見ているのがつらいからって海賊団を離脱してもギュルナーレに糊口をしのぐ術などあるのか? と思ってさ〜。
ギュルナーレに感情移入してしまい、メドーラを邪魔に感じる始末。ごめんメドーラ…。でもこの時は本当にギュルナーレの身の振り方を考えてみていました。結論として、アリとくっ付くしかないと思いましたが、何でしょうね。余ったわき役同士をくっつけるみたいな、そんな適当な感じになってしまい…うーん。いや、何も男に頼らなくても。真の女性として目覚め、自立して生きていくという手も(完全に主題が変わってしまう)。

そんなコンラッドとメドーラのパ・ド・ドゥは常に甘くロマンチックな雰囲気。悪のパシャ・ザイードもそうなんだけど、リフトが優しいんだなあ。コンラッド・メドーラ・アリの定番のパ・ド・トロワも情緒があってよかった。このアリはどうもメドーラのことが好きなようなんですが、パ・ド・トロワの中でメドーラとアリが絡んでるとき、コンラッドはどういうことを思ってるのかなあ〜とか思いながら見ていたよ。コンラッドは気付いてるのか? いや、気付いてないよね。気付いててメドーラとアリを踊らせてるんなら何か…変質者っぽい……し、アリも尊敬するコンラッドに自分のそういう思いを悟らせるようなお間抜けさんではない。切ない。

コンラッドとメドーラが愛し合っているのはいいんですが、そんでコンラッドがギュルナーレを拒むのも、コンラッドがそんなほいほい女乗り換えるクソ男だったら困るのでいいのですが、ギュルナーレが可哀想になっちゃっているので、「メドーラの何がそんなにいいのよキイイー」っていう観客の思い(つーか私だけかもしれない)を納得させてくれるような何かがあるとよかったかもしれない。
といっても、メドーラがどれほど肝の据わったいい女か、そしてどれほどコンラッドを愛しているか、というのは終盤できちんと描かれていて、だからこそメドーラがコンラッドからそんなにも愛されているというのはよく分かるのですが(世界観はちょっと演歌っぽい)。終盤でなく、中盤までにメドーラがギュルナーレを圧倒するようなエピソードがあると分かりやすい…かな? どうかな。うーん自信ない。圧倒的魅力でジークフリード王子をひれ伏させるオディールのごとく、ギュルナーレをひれ伏させる魅力を放つメドーラ、みたいな…? そんなメドーラは嫌だー。てか百合っぽいな。私は何を言っているのか。

メドーラの踊りは技がいっぱいで、見せ場の連続で、楽しかったです。振付は華やかなんだけど、印象としては全体的に清楚な感じ。

そうそう、今回の久保版は、戦闘シーンに大変力が入っていました。西洋剣術の指導を取り入れたとのことで、殺陣は派手やかで見栄えがよくて、動きがスピーディ。コンラッドは二刀流もやるし、武器を奪われたパシャが落ちているコンラッドの剣を拾って戦いを続行する様子などもあり、ちゃんとした戦闘として、見所いっぱい。あと集団戦だと、剣以外に棒を持って戦う人もいて、見ていて面白かったです。

舞台は全2幕で、大体2時間ほど。えー短い、もっと踊って! と思ってしまいましたが、そうなるとストーリー上無駄なところが出てきちゃうでしょう。話の筋は分かりやすく、無駄がなくまとまって、テンポよく進みます。くどくどぐだぐだしたところは少しもありません。エンタメ性も高いので、初心者にも分かりやすく馴染みやすい作品だと思います。

この「海賊」はNBAバレエ団の代表的作品になるのではないか、と思いました。
是非再演してほしいです。再演を重ねてうまく育てていってほしい作品だ、と思いました。

そんでそんで、ですね。すごく嬉しいことがあったのです。

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プログラム購入者から抽選で当たる監督・出演者サイン色紙が当たったのですーー!!!
とっても嬉しい、大事にします!

今年の運を使い切ったかも……?


posted by 綾瀬 at 22:58| Comment(0) | 雑記・バレエ
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