2017年04月07日

ベルギー旅2日目(15) 突撃! 今度こそ古典美術館〜ゆるキャラ悪魔〜

ブリューゲルの部屋の最後の記事です。

フランドル絵画は今回の旅の目的のひとつで、とても楽しみにしていました。中でもブリューゲルはちょっと不気味だったりグロテスクだったり、でも生き生きしていて、やはり少し物寂しげで、何だかどうも怖いような印象を受ける絵が多く、怖いもの見たさということなのか、もっと長く見ていたい、もっとたくさん見てみたい、と思わせられる画家です。要するにSUKI…♡ということなのでしょう。

今回見たブリューゲルの中で私が一番気に入った絵がこちらです。
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ピーテル・ブリューゲル(父)作、「堕天使の墜落」です。
何が気に入ったって…

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なんやねんこいつ。ゆるキャラやないかーい(※悪魔です)。

えー、関西人でもないのに関西弁(似非)を使ってしまい申し訳ございません。
この絵はタイトルの通り、天界から堕天したルシフェルの軍団と、迎え撃つ天界の軍団長大天使ミカエルとの戦いを描いた一枚です。

で、でもですね、なんかですね、この絵に登場してる悪魔たち、変な奴らばっかなのですよ。

こいつとか。
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随分シャレオツな帽子を身に着けてやがるぜ。勘違いしたメタルロックみたいなナイフといい、恵比寿辺りのイルミネーションのような繊細なパールの飾りといい、いい味出してます。つーかこの顔。なんかウケる。
隣の犬っぽい悪魔が王冠を被っているのもカワイイ。カ、カワイイ? か、よく分かりませんが王冠はぴかぴかしていて綺麗です。

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お前らは何なの。その表情は何なの。

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ムール貝の悪魔(……)。大画家ブリューゲルもやはり身近なところからモデルを選ぶのね……。この絵がもし日本で描かれていたらムール貝でなく江戸前シジミの悪魔だったのでしょう。

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これが地獄の軍団長、堕天使ルシフェル。
エイの様なフォルムの鎧というか背中というか甲殻というか…、と、筋子みたいな体と、かつて天界で天使としてラッパを吹き鳴らしていた名残の悪魔ラッパ。

よ、弱そう……。

いや、でもこんなのがもし仕事終わって疲れて家帰ってきたところにカサコソと家具の隙間から出てきたりしたら、気色悪くて気持ち悪くて、そのおぞましさに悲鳴の一つも上げながら血眼になって掃除機で吸い取ろうとすることでしょう。

あとこのルシフェルの顔のすぐ上辺りにいる尻の悪魔の尻から…いえ、これ以上は私の口からは何も申し上げられません。

とにかくこういうゆるく、キモく、内面の個性が外面にもよく表現された気色悪いゆるキャラ悪魔たちが、画面いっぱいに何匹も何匹も描かれています。迎え撃つ天使たちよりも、どうもこのキモいゆるキャラどもに目を奪われてしまいます。このゆるキャラどもがまた、どいつもこいつもやたらと生き生きしてツヤッツヤして一匹一匹がかけがえのないオンリーワンとして光を放ち大活躍しているのがもうたまりません。やばい。キモかわいい。たまらん。いっぱいいるからなおたまらん。A〇B48だっていっぱい揃ってるところがまたカワイイやん。

このゆるキャラどもの独創的で強烈な造形は、けれどブリューゲルが無から生み出したものではなく、この作風には先行する大画家がいたようです。ブリューゲルはその先行画家の影響を受け、自らのゆるキャラ作品として昇華させていった模様。

先行する画家、というのはヒエロニムス・ボス(ボッシュ)です。これまでに、ボスのシュールレアリスム的作品を、本やネットなどで全く見たことがないというわけではなかったのですが、それでもあまり注意を払ったことはありませんでした。しかしブリューゲルの生み出したこのゆるキャラどもを見ているうちに、当然、その系譜の先行者であり、ブリューゲルに多大な影響を与えた彼の作品を見たくて見たくてたまらなくなりました。

都合の良いことに、この後行く予定のブルージュでボスの「最後の審判」を見る予定☆
てか、この王立美術館にもボスの絵はいくつかあったのですが。

そのうちのひとつがこちら。
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うーんボケボケでどんな絵なのかさっぱり分かりません。すみません。全て写真を撮るのが下手な私のせいです。
でもね。

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やっぱりおるやんゆるキャラ悪魔!
右側のなんか変な奴(としか言い様がない)がちょっとギャルっぽくてちょびっと可愛いのがまたたまらん。
真ん中のネズミ(だか何だか分からない)悪魔は普通にもふもふしてるしさあ。

えーこの絵は「聖アントニウスの誘惑」です。聖アントニウスが厳しい苦行に挑戦しているところへ、彼を堕落させようと襲いかかるゆるキャラ悪魔どもの誘惑が描かれています。

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かものはしボートに乗っている悪魔です。楽しそうですね。楽しそうですが、えー、彼は真面目にやっているのでしょうか。一緒にボート乗ろうよ〜みたいな誘惑でしょうか。舐めてんのか! そんな誘惑に誰が乗るんじゃ!

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悪魔的にはちょっとは真面目にやっている(かもしれない)ガマガエル悪魔(のんだくれ)と、写真下部から裸のままそっと姿を見せているのは性的に堕落させようと誘う美女の悪魔なのですが、聖アントニウスにはいずれもシカトされています。

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…ふざけてんの?造形からしてお前はなんなの?なんなのそのぷっくらほっぺは???

この絵には他にも奇抜なデザインのゆるキャラどもが大勢描かれています。空飛ぶ魚に乗っている魔女夫婦とか。破けた林檎の……何だろう、とにかく破けた林檎からぞろぞろ出てくる悪魔たちとか。とはいえデザイン上の面白みだけでなく、堕落した教会に対する批判などもふんだんに盛り込まれており、ついゆるキャラにばかり注目してしまいましたが本当に見応えのある絵画です。

ところで、ボスの作品はあまり沢山は現存していないようです。作風が教会から忌避され、焼き捨てられたものが多いらしいとのこと。何と勿体ない!
でも、スペインの専制君主フェリペ2世がこのボスの大ファンで、彼はボスの作品を蒐集していたそう。そして集めた作品は現在プラド美術館に展示されているということです。さすがに王様の集めた絵画には誰も手出しできませんものね。というわけで私もいつかプラドに行くことがあれば、フェリペ2世のおかげでボスの作品を沢山見ることができるというわけです。
わースペインに行きたい理由がまた一つ増えた☆

ブリューゲルに話を戻します。
ブリューゲルの絵の多くがそうなのですが、登場人物が多く、ひとりひとり隅々まで見ていくと、本当に多くのエピソードがそこに描かれていて、こんなこともある、あんなこともある、とわくわくしてしまいます。

今回ご紹介した「堕天使の墜落」もそうで、ご紹介したゆるキャラどもはごく一部なので、実物や画集などを見る時は是非細かなところにも着目して鑑賞されることをおススメいたします!

私の一番気に入ったゆるキャラは真っ先にご紹介したこいつ。
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今まさに成敗されようとしていますが、果敢に歯を向いて天使に立ち向かう姿もけなげです。
特につぶらなおめめがたまらん。

はー、それにしてもどこを見ても現代でも通用する卓抜した個性のデザインであることよ…。侮りがたし、ゆるキャラ悪魔。


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posted by 綾瀬 at 12:35| Comment(0) | 16年12月ベルギー
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