2020年04月25日

2/15  マチネ NBAバレエ団「ホラーナイト」

NBAバレエ団による公演を見てきました。世界初演となる「狼男」と、ミルウォーキーバレエ団の芸術監督であるマイケル・ピンク振付の「ドラキュラ」より第一幕のダブルビルです。
NBAバレエ団はエンタメ性の高さにも注力されていて(と私は思っているのですが)、バレエ初心者でも楽しみやすい演目を多く上演されており、なるべく見る回数を増やしたいなーと思っているバレエ団です。今回、ホラーというテーマにも興味をそそられチケットを取りました。

狼男
芸術監督:久保紘一
振付:宝満直也
キャスト
a man:森田維央
a girl:竹田仁美

ミステリアスでスリリングな抽象バレエでした。これはまた見たいな〜、そして色んな人の解釈を聞きたいな〜と思います。
最初、舞台は真っ暗で何も見えません。自分自身がその暗闇の中にいるような、緊張でドキドキする中で物語が始まります。
この作品は最初から最後までずっと、破局の気配に満ちているような気がしました。
狼男、あるいは狼女の身に降りかかる孤独で悲劇的な運命が普遍化されており、誰しにも起こり得る悲劇として悲愴なエピソードが繰り広げられます。そしてそんなのは関係ないと思っている、どころか想像もし得ない圧倒的大多数の人々の姿の、マイノリティを指弾し嘲笑う姿は醜悪で、その醜悪さに報いるように彼らにも悲劇が訪れます。その悲劇後の姿からは、「狼男(狼女)の悲劇的な宿命を想像もしないマジョリティ」である彼らもひとりひとり自分が主役の人生を生きていた一人の人間で、こんなふうに死んでしまっていいわけではない、もっと生きていたかったのだ、というメッセージが発せられているような気がしました。果たして、私自身はどちらでしょうね? マイノリティの狼男(狼女)か、マジョリティの一般人か…。
後半に差し掛かった辺りで、ドレス姿の男性が登場します。彼は何のメタファーなのか。最初、「悲劇的な運命」のメタファーなのかと思いました。次に「死」のメタファーかと。最後には、狼男を悲劇から守ろうとする「守護的な何か」かなあ、などと。全然違ってたらすみません。
とにもかくにも、彼が狼男から少女を引き離し、舞台から退場します。これによって狼男は永遠に少女を失ってしまうのかとも思ったのですが、少女はそれからしばらくして再び舞台へ登場。今度は狼男を糾弾するようなマイムを見せます。これは裏切りなのか? 愛は終わってしまったのか? やはり狼男と少女では一緒にはなれない? いずれにせよ冒頭から張り詰めていた破局への予感がここでついに結実してしまったような気がしました。
でも物語は一筋縄では終わらず、狼男と少女は緊迫感に満ちながらも再び心を通い合わせようとしていくようで、そこから急転直下、クライマックスに向けて再び破局の予感が満ち満ちていく――という感じ。
かなり抽象的な作品なので、人によって解釈はバラバラかと思います。上記はあくまで私の解釈ですが、また見たら感想も変わるかもね。
踊りはコンテンポラリー寄りで、大地の重みを活用した動きが多いです。地を這うような、狼男がテーマだけに獣を思わせる動きが沢山あり、面白かったです。
上述の通り、ミステリアスでスリリングで、先はどうなるのかとドキドキしながら見ていました。いい感じに不気味な作品で、再演してほしい。
ちょっと言うとすると、マジョリティがマイノリティいじりをするところが少し長かったかなー? あそこはもう少しサクッと進んでもよいかもですね。執拗にやるからこそ普遍化できるというのもあるのですが。

ドラキュラ 第一幕
芸術監督:久保紘一
振付:マイケル・ピンク
キャスト
ドラキュラ:平野亮一
ジョナサン・ハーカー:宮内浩之
ミーナ:峰岸千晶
ヴァン・ヘルシング:三船元維
レンフィールド:河野崇仁
3人の女バンパイア:浅井杏里、佐藤圭、関口祐美


ダブルビルの2演目目。ドラキュラ役として何と、英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルである平野亮一さんが客演されています(ダブルキャストで、ソワレは狼男の振付の宝満直也さんがドラキュラ役)。以前シネマで見た冬物語の平野亮一さんの素晴らしい怪演が印象深く、その平野さんのドラキュラを是非見たい! と思い、この日を心待ちにしていました。
原作は勿論、ブラム・ストーカーの小説「ドラキュラ」です。といっても実は私は原作を読んだことはなかったので、事前にさらっとネットであらすじをチェックしていきました。まあ、大体知っていた通りではありますが…。
セット、衣装、不気味な色合いの照明、これらとても手が込んでいてよかったですexclamation 特にセットはヴィクトリアンなゴシックホラー感がよく出ている、ゴージャスで素敵なセットでした。列車に乗り込みくるくる回って時間と距離の過ぎるのを表現するのもよかったです。
そして物語は、おいおいここで終わりかよ〜〜〜続きめっちゃ見たいわ!!といういいところで幕。今回は1幕だけの上演なのだ…。全幕は8月に公演予定で、勿論チケット申し込んじゃったよね(この記事を書いている時点でもう届いていますわーい(嬉しい顔))。

ドラキュラ役の平野さん、言うまでもないですがめっちゃよかった〜〜〜〜!!! カーテンコールでもドラキュラの役作りをしたままで、すごく不気味な迫力。弁護士のジョナサン・ハーカー役の宮内さんと繰り広げる男性同士のパ・ド・ドゥは淫靡で力強くド迫力で、見ている側もハラハラして息を飲んでしまいます。ジョナサンに対するドラキュラの執着、逃げたくても圧倒的な力の前に逃げられずもがくジョナサン、運動量もすさまじく、ダイナミックなパ・ド・ドゥでした。男性同士のパ・ド・ドゥいいですね〜。これからの時代は男女、男男、女女のパ・ド・ドゥもよいのではないでしょうか。
順番が前後しましたが、民族舞踏のシーンも迫力があってよかったですね。ジョナサンがドラキュラの本拠地に到着すると、地元住民たちが狂気的な踊りを踊っているのです。コールドのキレもよく、ゴシックホラー的な狂乱がよく表れていたと思います。
あと私は3人の女吸血鬼たちがすごくよかったるんるん キャスト表を見たら上手い方ばかりなので、この満足度もさもありなむって感じかもしれませんが。淫靡で美しい女の形をしているのにどー見てもまともな人間じゃない、素晴らしく不気味で気持ち悪いでも美しい女吸血鬼たちなのでした。こんなのに(失礼)絡みつかれるジョナサンおつ…って感じ!

このドラキュラは(まだ1幕しか見てませんけど)、場面の繰り返しが多用される渦巻のような構造の構成なのですが、話は停滞することなく目まぐるしく進み退屈する暇がありません。引き算がとても行き届いているな〜って思いました。ほんと面白かった!
8月の全幕が待ち遠しいです。圧倒的強者であり執拗に執着してくるドラキュラに、我らがジョナサン・ハーカー(とヘルシング教授)はいかに立ち向かうのかexclamation&question
そして不気味で凄まじい存在感を放つ平野ドラキュラは2幕以降どう演じられるのか。
とにもかくにも楽しみです! ホラーナイト、見れてよかったグッド(上向き矢印)


posted by 綾瀬 at 15:13| Comment(0) | 雑記・バレエ