レースセンターのレセプションはこの向こう側。やたらと目立つコカ・コーラの自販機。自販機!? うおー、今更ながらこれ、自販機でしょうか。海外に自販機があるなんて、この辺りの治安の良さが窺われます。
さてさて、チケットを購入して早速内部を見学させてもらいます。こちらのレースセンターではボビンレース編みが教えられていたそうで、現在でも講座や実演が行われています。チケットを購入するとき、午後に来れば実演があるよ、と教えてもらったのですが、午後はもうブリュッセルに戻って空港に向かわなければならないので残念ながら実演は見学できませんでした

総レースのゴージャスなロングショールや、
レースを用いた装束の展示があったり、
様々な意匠の素朴ながら繊細なレースたちが沢山展示されており、ひとつひとつ拝見していたら結構な時間が経っていました。実演が見られなかったのは残念ですが行ってよかったです。
だってこれ、ひとつひとつ手作りだよ! 機械かなって思うようなレベルのものも、ザ・ハンドメイド

手で、これ作るんだよ…。すごい。不器用でリリアンさえ失敗する私には逆立ちしたって作れまい……。
そしてなんと! こちらのレースセンターには!
上掲のように日本語の説明もあるんだよ〜〜〜

折角日本語の説明を用意してくれているのだからその期待には応えたい(何がだ)。
展示の最初の方で、レースの歴史やレース産業の現況、今後の展望などを説明するビデオがあったのですが、その中で、日本人女性のボビンレース作家さんのインタビューが流されていました。こういうところにも日本との繋がりがあったのだな、と思うとやっぱり何だかんだで嬉しい思いがしました

まあ、私自身は何も貢献してないがな…。
元々、ブルージュは中世の隆盛が去った後は大きな産業もなく、かなり貧しい街だった時代が続いたようです。貧しい、ということは教育もあまり受けられない、ということで貧困のスパイラル。そうした中で口を糊するため、女性たちの作るレース編みは非常に重要なものだったそうです。ブルージュでとりわけレース編みが盛んだったのは19世紀頃だったそうで、私が今見学に来ているレースセンターの様なボビンレース学校はブルージュの各地に沢山あったそう。
レース編みは女性の仕事で、逆に言うと女性が手に職をつけるにはレース編みしかない! という時代的、地域的な背景があったようです。レース編みは手元の道具だけで作業できるので、朝早くから夜遅くまで女性たちは一生懸命レースを制作したそうですが、わずかなお給金にしかならなかったそう


更に切ないことに、レースの「格」としてはヴェネチアのレースがNo.1


なのでパリピ…セレブ…のパーティーなんかでヴェネチアのレースでなくブルージュのレースを身に着けていたりすると、馬鹿にされたそう。ドイヒー。
なんだよなんだよそりゃヴェネチアブランドは素敵だろうがブルージュのレースだって素敵じゃん。素敵じゃん。と肩を持ちたくなる。
ブルージュの女性が1年がかりで(確か…)、マリア・テレジア(確か…違ってたらごめん)のドレスの装飾のレースを作り上げたというエピソードも紹介されていて、女帝のドレスに使われるくらい評価の高い物じゃん! と思ったものです。
でも、それだけ素敵なレースでも、そのレースを作るブルージュの市井の女性自身が身に着けることは殆どできなかったと思うと、ト〇タの工場で働く非正規雇用の社員が〇ヨタの車を買うことはできない…みたいな話と全く同じだなあ、古くは貴族階級に、現代では資本家階級に、庶民というのは搾取されるものだなあ、
えーと危なげな話は置いておいて、こちらのレース学校では、様々なレースの図面(? と言えばいいのかな。設計書のような、音楽で言うならば譜面のようなもの)も展示されていて、実際、レース学校ではこれらの図面の読み方から習っていったそう。図面の読み方にはいろいろなルールやお約束があって、それが分かっていれば、現代でも19世紀のレースを再現可能ということですねぃ。
レース本体だけでなくボビンレースの道具類もこんなふうに可愛らしく展示されていて、売店でも、レースだけでなくこういった道具類や図面の販売もされていました。
そんなに広い博物館ではないけれど、色々勉強にもなったしレースは綺麗だし、楽しい時間でした

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