2018年12月02日

ベルギー旅5日目(20) ブルージュで生首と遭遇、からの絶品晩ご飯

突然ですがチョコレート屋さんのショーウィンドウ2連続。

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動物や雪だるまなどを象った可愛らしいチョコレートたちが所狭しと並んでいる。勿論大人向けのシンプルなチョコレートも。

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んで、これ…、何屋さんなのかよく分からなかったんだけど、お菓子屋さんかなあ? 生首置いてあったので撮った。恐怖のティーパーティーか? たくさんのお菓子(作り物か、商品サンプルかも不明)たちと、生首。

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人通りが多い通りを目指した、と言っても当社比(どこの当社か)であり、そんなに人が多いというほどではない。まあ明るいし、視線の範疇に誰もいないということはないから多少安心しては歩ける。

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鐘楼ベルフォールトのある、マルクト広場へ戻ってきました。

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鐘楼のある建物の1階部分はデリ(ていうかスーパーマーケット?)になっている。ベルギーでは歴史のありそうな建物が普通に日常使うスーパーなどの施設として商業利用されているのをあちこちで見かけた。ベルギーでは、というかヨーロッパではごくありふれた景色かもしれない。日本でも、歴史的建物をレストランや喫茶店として利用する試みは結構あるけれど、それはそれ込みの雰囲気や歴史を楽しむためで、特にそういう目的でないスーパーマーケットみたいなのに利用することはあまりないと思う。木造と石造の違いでどれくらい後世に建物が残りやすいかという希少性の違いや、電気・水道設備の導入のし易さなどの違いがあると思うけど、古い建物をこういう何てことのない商業施設に利用できるのはいいな〜と思う。ミスマッチと言えばミスマッチかもしれないが…。

そんなこんなをしつつ、いい加減お店も閉まり始めてきているので、目に入ったレストランへ入店。そんなにお腹が減っているわけではない、しかし今を逃すと深夜お腹が減って睡眠に集中できなくなることは目に見えている、という微妙な空腹加減。いやあんたゲントから持ってきたパンがあるでしょ、という気もしますが、折角ベルギーにいるのでなるべく色々なところでちゃんと食事をしたい!

入店すると、コワモテのおじさまが迎えてくれまして、「食事する?」と。「軽食のみだけどいいか?」と聞きつつ、無事席に通してもらえました。かなりもうお酒タイムの雰囲気だったので、営業していても食事は出せないって言われるかもしれないと思っていたので、最初に向こうから聞いてくれて助かった。

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お酒タイムのムーディーな店内(暗い)で注文したのがこちら!
小エビのクリームコロッケです(*'▽')

超 美 味 し い

クリームコロッケの周りにも小エビたちがふんだんに振りかけられておりますが、中身のクリームにも勿論海老は含まれていて、これがすっごくいい出汁が効いていて、でも当たり前だけど味付けは日本風じゃなくて、ほんと別の食文化圏って感じのハーブや香辛料の味、風味がマジいい仕事している。
日本風の味付けじゃないといっても、日本人には口に合いやすい味だと思うんだ。クリーム自体は日本人もなじみがあるし、海産物の料理だから親和性が高いのかも?

もう1回言うよ。

超 美 味 し い

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クリームコロッケのアップ。まるでエビフライのような形だけど、クリームコロッケだよ。
いや〜〜〜本当に美味しかった。ベルギーでは常に美味しい物ばかり食べていたけれど、もし一つだけ選べって言われたら、この小エビのクリームコロッケかなあ。日本にいると、世界中の美味しいものが大体食べられると思うけど、このクリームコロッケの味に巡り合うのはなかなか難しそうだ。

余談ですが、エビはオランダ語でスカンピだと思ってスカンピスカンピって言ってたら、コワモテのおじさんに「シュリンプ」と言い直され、はて…?と思っていたのですが、後にスカンピというのは大きい海老のことで、こういう小エビはグルナールとか何とか言うらしいことを知りました。
ほ、ほう…。なるほど。

まあ通じてたし無事小エビのコロッケゲットできたから何だっていいや! だから成長しないのかな? まあいいや!

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デザートはチョコレートムース。前も食べてたけど、またもチョコレートムース。ベルギーだからチョコレートが美味しくてチョコレートムース、というセレクトではなく単にチョコレートが好きなだけ。ベルギーで食べたチョコレートムースは、言っちゃなんですが、どこで食べたのもフツーでした。
日本でもっとおいしいのがいくらでもありそう、とも言う。

これにてベルギー旅5日目の活動は終了です。ホテルに帰って(門限に間に合ったので自分で解錠しなくて済んだ)お風呂に入って、リラックスして就寝できました。


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posted by 綾瀬 at 12:17| Comment(0) | 16年12月ベルギー

2018年12月09日

ベルギー旅6日目(1) 楽しい朝ご飯とiPhoneの重力に魂を縛られた私

ベルギー旅6日目、記念すべき海外初ひとり旅も残すところあと2日となりました。さ、寂しい…!! 翌日の夜にはブリュッセルに戻って飛行機に乗らねばならないため、完全フリーで動けるのは本日が最後です。
もう日本に戻りたくない、というか仕事行きたくないという思いがこの頃から芽生え始めるサザエさん症候群な私。でも楽しいこといっぱいしたいので、お仕事もほどほどに頑張りまーす。

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朝ご飯! です!!
何を興奮しているかと言いますと、宿代を節約するためこれまでのホテルでは素泊まりのみだったんですねー(ケチである)。ブルージュで2泊お世話になったこちらのHotel Bourgoensch Hofでのみ、お得な値段だったので朝食付きのプランにしたのです、というか朝食付きのプランしかなかったような。いずれにせよお得。

メニューはごく一般のコンチネンタルバイキングって感じ。でも、ハムにしろチーズにしろパンにしろ複数の種類が揃えられていて、かなり充実していた。私は食べてないから写真がないけど、ヨーグルトやフルーツなど定番のメニューはそろっていたよ。

私が行った時はちょっと混み合っている時間で窓際のテーブルが空いていなかったんだけど、もたもた食べているうちに私以外全員いなくなったため、そこで写真撮り放題。

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空いていればこんな素敵な窓際のお席もある。

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朝食会場は夜はバーになる、濃紅を基調とした色合いの可愛い内装のレストランでした。

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バースペース。お酒が飲めないのであまり縁がないが、私がこんなに酒に弱くさえなければ夜こんなところで葉巻をくゆらせ(何者だ)カクテルを楽しめるのに。

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レトロ可愛いしつらえ。窓から見えるお向かいの建物も可愛いねえ。

と、十分腹ごしらえをし、またもそこそこ遅い時間になってホテルを出発です。

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夜は気付かなかった。ホテルの入口にはこんな可愛らしい看板が下がっていました。

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そしてこちらがホテルの外観。運河に面したとっても素敵なプチホテル。

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で、このHotel Bourgoensch Hofが、これまた建物と建物に囲まれた細長いスペースの奥にあって、そこがちょっと中庭みたいになっている。その中庭(みたいな空間)の一画を成す別の建物がこんな感じ。
この写真のように、1階部分が外部にあって下を潜り抜けられるようになっていて、2階、3階が接続し合っているという造りの部分もある。全部が全部ではないが。

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早速そぞろ歩きに出発です。出発した時、実はどこに行こうかはっきりとは決めていませんでした。ブルージュには美術館や博物館、歴史的建築物が多く、まあどこに行こうか考えるだけで目が回る。
ただ、ボス(ボッシュ)の絵が見たかったので、どこかでグルーニング美術館へは行こうと思っていたけれど。

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ちょっと街を歩いていると、いつも顔を見せる鐘楼。カリヨンの演奏は週に何度か、11時から行われると聞いていた。それを楽しみにしつつ街歩き。って、実はこの時点で11時近い。相変わらず朝の遅い女である。

と、ここでハプニング発生。

携帯落として割れたーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!

おいいいいこのベルギー旅行のために1週間前に替えたばっかだぞ! それまで2年以上無事故無違反(?)の優良ユーザーだったのにいいいい!!!!!
口が開いたまま、元に戻らない。あと、ついでに多分この時手袋もなくした。それに気付いたのもっと後のことだけど……。

あーん画面の端が欠けた…中の見えちゃいけないところが見えてる…。
おお…おおお……。

でも端っこだけだから大丈夫! 画面全体が割れたわけではない! まだ戦える! この子(あいぽん)頑張ってる!

と、気を奮い立たせながらも泣きそうな気分がこみ上げてくる私を、カリヨンの優しい音色が包み込むのであった……(携帯割れて呆然としている時に本当にカリヨンが響いてきてびっくりしたね)。

正直、咄嗟にカリヨンの音色もよー分からんくらいでしたが、嘆いたところで欠けた画面は元に戻らない。気を取り直し、ブルージュの街を探索するのだ。

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建物と建物の間の細い、というほどではないが広くはない道。そこを守る門。中世、ブルージュの街はぐるりを市壁で完全に囲まれた、いかにも中世らしい要塞都市だった。現地で購入したガイドブックに当時の絵が載っていたんだけど、それを見ると市壁の周りにはこれもぐるりとお堀が巡らされていて、敵からの侵入に十分な備えがなされていた。
中世では当たり前なのだろうけれど、その市壁の外が田園のようになっていて、ここには全然建物はない。人の居住地は完全に壁の中、という構造。

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特徴的な鋭角の切妻屋根が連なる通り。小雨が降ったり止んだりしていて冷える。

ああ…母さん僕の携帯……。

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上掲2枚は聖母教会の写真。聖母教会は後に入場見学しました。2枚目の写真、シティツアーのミニバスが写ってる。こういうツアーを利用すると効率的に名所を回れるから、それもいいね。まあ私は足で歩いてたんだけどね。だから携帯を硬い石畳の上に落として割っちゃうんだけどね。

嗚呼…カリヨンの優しい天上の音色よ。もしもこの音が目に見えたならば眩い光輝を放つことであろう。
本当に優しい音だ。しかしその折角のカリヨンコンサートもあまり集中できないのは、私が割れたiPhoneの重力に魂を縛られた人々だからだろう…。

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聖母教会を迂回する、ぐねっと曲がりくねった道。観光名所が集中していて、とても人が多い。

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馬車もやって来たよー!

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また写真斜めだけど。
こういうヨーロッパの街並みは何度見ても、何度写真を撮っても飽きない。綺麗で心を奪われる。


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posted by 綾瀬 at 15:27| Comment(0) | 16年12月ベルギー

2018年12月14日

ベルギー旅6日目(2) メムリンク美術館へやって来ました(1)

ブルージュの街、というのは古代ローマ時代から連綿と歴史の続く古都、というわけではないそうです。確かに、その時代のローマの植民地としてはこの街の名前は聞かない。この街が世界史の中で顔を出し始めるのは9世紀頃のヴァイキング(ノルマン人)の襲来以降とのこと。それ以前も人は住んでいたのでしょうが、多分小さな集落が点在しているくらいだったのだと思われます。
そして9世紀後半、以前の記事でも触れた鉄腕伯ボードゥアン1世がノルマン人たちの襲撃を防ぐための城壁をつくり、それを以前からこの地を指して呼んでいた「Bryghia」と言う名前で継承して呼んでいたのが、ブルージュの街の始まりのようです。
女攫うだけじゃなくちゃんと仕事してたんだね、ボードゥアン1世。

その後フランスの強い影響下で栄華を極めたブルージュの街は、早くも15世紀頃から斜陽を迎え始め、続く16世紀にはダイヤモンドでこんにちでも有名なアントワープが隆盛を迎えたそう。アントワープは今回の旅では訪れることができなかったので、いつかここも行ってみたいなぁ。

などと蘊蓄を語りつつ…。

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聖母教会の鐘楼がある方の建屋の入口。ここブルージュの聖母教会は非常に規模の大きな教会で、沢山の建屋が付帯している。

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因みに上の方を見上げるとこんな感じ。

さて、この聖母教会の近くにはメムリンク美術館がありまして。このメムリンク美術館は聖ヨハネ施療院の建物の中にあります。また、入り口は別ですが聖ヨハネ施療院の薬局部分の見学もできて、チケットは共通なので捨てないようご留意を。
で、早速このメムリンク美術館に入館したのですが、外観の写真がなーい。

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いきなり入館後のスペース。荷物は入口でロッカーに預けられたかと思います。写真撮影可。
ま、こんな感じで施療院の建物が現在では美術館として利用されているというわけなのですが、基本的に石造りのためとにかく冷える。足元からひたすら冷気が這いあがってくる。昔の人の生活は過酷だなあ、と思いを馳せつつ見学スタートです。

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ちなみに天井はこんな感じ。天井は高いところと低いところがあったね。

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その天井付近に飾られていた絵。斜めなので分かりづらい。これは何の絵かなー。聖ヨハネかキリストか…ごめん分からん!

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施療院の大きな窓。規則正しい模様のステンドグラス。窓の近くはまだいいんだけど、ちょっと奥まった窓のないところに行くと、本当に室内が暗い。ライトはついているけどやっぱり暗いと感じるもん。石造りの堅牢さを感じる。

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調度品の展示。椅子とキャビネットと、一番左側のは何かしら…? 生首…。

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色々な文書もありました。これはこの施療院の見取り図かな。

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何かいてあるか分からないけど古文書の巻物。紙の保存状態がいいですねえ。

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古文書のアップ。アップにしたところで読めないけど。解読できる方は是非内容を教えてください。

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古い時代の本。表紙は革でしょうか。格好いいねえ。

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こういう留め具のついたタイプもある。こりゃまた格好いい。

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中はこんなふうにカラフルな彩色の施されているものも。ピンクと緑と青の花模様。

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アップも頑張って撮ったが、なにぶん暗いのでピントを合わせるのも大変だし、何とか合っても却って色味が分かりづらい。どういうことが書いてあるのかなあ。この時代は1冊1冊写本だろうから、本というのは本当に高価なものだったのだろうなあ。私の給料では全然買えないだろうなあ。今のように庶民でも気軽に本が買える(気軽に買えないお値段のものもあるにせよ)時代で有り難い限りですが、その分贅を尽くした豪華絢爛な写本の作り方なんかは、なかなか継承するのが大変そうだとも思います。教会とかで継承されているのかな。

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櫃。鉄製かと。重たそう。ただ、こういう教会に置いてあるということは、もしかしたら聖遺物とか、所縁のある方の遺骨を納める箱の可能性もあるかも?
でも、それだったら展示方法がもうちょっと違うかな。

と、こんな感じでしばらくメムリンク美術館を見学します。
メムリンクは15世紀前半にブルージュで活躍した画家で、この聖ヨハネ施療院のために複数の宗教画を制作するなど縁が深いそうです。
聖ヨハネ施療院の建物は12世紀に建築が始まり、アウグスティノ会系統の修道士・修道女たちによって病や怪我の治療、それから礼拝を行うなどの宗教面のケアが行われてきたとのこと。実際に、19世紀半ばまで使われてきたそうです。

修道院、施療院らしく、果樹園や菜園、アルコールの醸造場など複数の施設を兼ね揃えていて、ここで一つの完結した小さな世界としても成り立つような暮らしをしていたようです。といっても別に鎖国していたというわけではないけど。

色々な人々がここに入院して、魂と肉体の安息を得ていたということで、中世のそういった生活をもっともっと知りたくなりました。
関係ないですけど青池保子先生の修道士ファルコという漫画は面白いです。これは舞台はドイツで、主人公ファルコはシトー会系の修道士ですが。ファルコの修道院の近くにある聖アンナ尼僧院の屈強な尼僧たちが北斗の拳の世界でも雑魚どもを蹴散らしていけるようなつくづく屈強な尼僧たちで、思い出しただけで笑える。


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posted by 綾瀬 at 22:02| Comment(0) | 16年12月ベルギー

2018年12月23日

ベルギー旅6日目(3) メムリンク美術館へやって来ました(2)

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再び古文書。植物の絵が繊細なタッチで描かれている。施療院なので薬草類に関する記述の書かな〜なんて思いつつ、左右のお花の絵がなんか踊っているみたいに見える。RPGゲームに出てくるモンスターのような。若干イラッとする感じの踊り方に何となく笑ってしまう。

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んで、また別の書。一番上部のアイコン(?)たちが可愛いぞ。

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ホレこのように骸骨が。
何が書かれているか分からないけど(訳そうと思えば訳せそうではあるが…アイコンの下の1行目はイエスとマリアとアウグスティヌスって書いてあるね)、19世紀初め以降の書であることは間違いなく、書体やアイコンたちも近現代風に洗練されている。

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修道女の装束の展示。シスター…それは浪漫の響き。

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施療院らしく、ここから少し医療・医薬品関連グッズの展示。
薬やその材料となるものを保存していたような瓶。デザインもお洒落。

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真ん中の細長いスプーンは薬品調合用の計量スプーンでしょうか。

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銀器たち。
細かな彫金なども施されており、贅を凝らした品物に見える。治療用や、患者たちが日常使用する物としては豪華すぎるので、身分の高い方か、何か特別なことがあった時に使っていたのかな。いや、もしかしたらこれくらい日常使いで普通よ! ということもあるかもしれないけど。

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医療・医薬グッズから離れて、こちらは建設当初の遺構、古い時代の実際の床面のタイルかと思われる。細かいタイルを丁寧に並べていたようですね。ところどころこんなふうに遺構がそのまま保存されて見学できるようになっていました。

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これは往時の聖ヨハネ施療院の様子を描いた絵画です。茶色い木の仕切りは一つ一つが患者たちのベッドで、この絵は18世紀後半に描かれたそう。作者はメムリンクでなく、ヤン・ベールブロックという画家。私の写真だと細かいところは全然分からないと思うけど、向かって右端では寝たきりの患者を複数人の修道女が抱え上げたり、前の方では薬の調合(?)をしていたり、丁度中央の辺りではベッドで横になっている患者に修道女が何かの読み聞かせをしていたり(聖書かな?)、左端では司祭が臨終の秘跡を授けていたりと、当時の施療院の様子がよく分かる、興味深い絵です。
沢山の人間が描かれているので、細かく見ていくと結構時間がかかる。

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そんでこちらはフランドル絵画にあるあるな構図の、解剖を行う医師たちの肖像画。解剖中だというのに割りとカメラ目線なのは、この絵画の発注目的が、「解剖の様子を描く」ためでなく、描かれている「医師たちの肖像を描く」ためだからです。元々肖像画なんて王侯貴族やそれに準じるレベルの名士、大金持ちでないと発注することはできないものでしたが、時代が下るにつれて、特にオランダ・ベルギーの富裕な庶民たちは職業的つながりのある複数人でワリカンすることで自分たちの肖像画を発注できるくらい力をお金を手に入れていたそうです。この絵の4人の医師たちもきっとワリカンしたのでしょう。仲良し。
作者は分からないや。でも画風と時代的な印象から、メムリンクではないでしょう。多分。

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薬品の調合に利用されていた実際の器具と、ドライフラワー状態の薬草たち。いいねえいいねえ、中世〜近世のロマンが広がる。

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薬草の解説書。これ自体はそう古い書物ではないと思いますが、分厚くて文字がびっしりで、いつの時代にあっても勉強って大変だなー眠くなってしまう…という思いを起こさせる1冊。イラストも写実的で細かいところまで描かれていて、こういった書物を教科書として学び、修道女たちは患者への治療・投薬を行っていたのだとよく分かります。
うーん本当に字が小さい。こういう本を石造りの暗い建物でランプや蝋燭の火の元読んでいたなんて、すぐ目が悪くなりそう…、勉強って大変だー!


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posted by 綾瀬 at 00:07| Comment(0) | 16年12月ベルギー