2018年06月03日

ベルギー旅4日目(25) ゲントで買ったお土産たち

本日も盛りだくさんな一日でした。
と、締めておいてなんですが、この日色々お土産を買ったのを書くの忘れてました。

私にはベルギーで是非手に入れたいものがありました。

ゴブラン織

であります。
ゴブラン織。大きなタペストリーなんかは購入(できる金額ではないと思いますが、仮に手の届く金額であったと)しても、飾れるようなお家じゃないので買うだけ宝の持ち腐れですが、何か小物みたいなものであれば是非欲しい! と思っていました。
だってよく中世〜近世もののヨーロッパを舞台にした小説とか読んでると出てくるじゃん〜ゴブラン織〜。そういう格好いいもの私も欲しいじゃん〜〜〜。貴族〜〜〜イエ〜〜〜〜〜〜。

で、ゴブラン織りって何だろう?

ゴブラン織とはフランスのゴブラン工場で製作されたタペストリーである。 ゴブラン工場(Manufacture des Gobelins)はフランス、パリ市、13区、地下鉄レ・ゴブラン駅の近くavenue des Gobelins42にある工場である。

ゴブラン織(2018年4月12日 (木) 14:26 版)
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典 より引用

んっ? フランス??

ま、まあベルギーもフランスの一部だったという時代もあるし…でもパリ市ではないよな…と思いながらwikiを読み進めていきますと、

1602年、アンリ4世はフランドルのタペストリー製作者マルク・ド・コマンとフランソワ・ド・ラ・プランシュのために、現在のゴブラン工場のあるビエヴル川に隣接した土地をゴブラン家から借りた。

上掲同記事より引用

という記載がございまして。フランドル、即ち現在のベルギーの業者さんが始めた織物ということで、さすがは羊毛織物業で名を馳せたフランドル、ということで納得することに。
そんなこんなでフランス名産かベルギー名産か、若干境界が曖昧になりましたが、それだけ深い歴史と密な関係があったということで、あまり深く考えずとにかくお土産を見繕います。
フランスとベルギーなんてほんと近いしね。
適当な結論であるが気にしない。

えー、さてさて。確か、鐘楼と繊維ホールの見学を終えた後くらいだったかと思います。
聖バーフ大聖堂の近くにベルジャン・トレジャーズというゴブラン織専門店がありまして。ガイドブックとかにもよく取り上げられているお店です。色々ゴブラン織を見繕ってみたいと思っていた私はベルジャン・トレジャーズに目標を絞って突撃してみました。

店内は、長屋のように奥が長く繋がっている造りで、勿論いたるところゴブラン織の大物・小物で埋め尽くされておりました。
ちょっとレース小物なんかも置いてましたね。ベルギーといえばレースですからね。
しかし今日の私の目的はゴブラン織! レースには目もくれずゴブラン織の小物を探し回ります。

置いてあった品物は、敷物、タペストリー、クッションカバー、バッグ類が多かったです。
今思えばバッグかクッションカバーも買っておけばよかった…んですが、何となく小物に目が行って、結局お友達に渡す分のお土産と自分用で、ポーチをいくつか購入しました。

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既にいくつかお友達にあげちゃいましたが、手元にある分だけでも。

ゴブラン織って、こんな感じの、セピア調の織物です。どなたさまも、どこかしらで見たことあるのではないでしょーか。
写真の左上のはブリューゲルの絵画をポーチにしたものですね。例のコッドピースもきちんと描写されており…ちなみにこれが自分用ポーチです。ブリューゲル大好き故……。でもコッドピース……。

他にはワンコやニャンコ、オシャンティなファッション(洋服とか帽子とか手袋)、街並みなどの図柄がありました。お友達に渡してしまったので写真はないが。

必死にポーチをあさる私。誰々ちゃんにはこのポーチ〜などと珍しく女子っぽい思考で一生懸命ポーチを選びます。
そんなことをしておりますと、お店のお姉さんが声をかけてくれて、「こっちのバスケットにもポーチいっぱいあるわよ〜」と。レジ前にもポーチが満載されたコーナーがあり、薄々気付いてはいたのですが、レジ真ん前過ぎて私がそこでポーチあさってたら邪魔かな?と日本人らしい謙虚さで(自分で言います)遠慮していたのですが、声をかけてもらったんだからもう堂々とそこ行くね! 通行手形をもらったようなもんじゃ!!
(てか多分、人が来た時よければいいだけで、レジ前だって普通に品物見繕っていいと思いますです)

というわけで店中のポーチをあさりまくり、お気に入りを6,7点ほど選んで購入。神秘の仔羊柄のポーチがあれば欲しかったけど、それは見当たらなかった。なのでコッドピースブリューゲルをば。

う〜〜〜ん、今振り返るとほんとバッグ(リュックが欲しい)かクッションカバー買っておけばよかったなあ。バッグ、気に入ったのがあったのですが、「せっかく買っても汚したら勿体ない」みたいな謎ロジックで買うのやめちゃったんですよね。ほんと馬鹿。何なのその、愛してくれないならいっそ殺してやるみたいな謎ロジックは…。

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名刺ももらいました。お姉さんも親切で、品揃えも豊富で、かなり長居してしまいました。
見ているだけでも楽しいお店でした。


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posted by 綾瀬 at 19:58| Comment(0) | 16年12月ベルギー

2018年06月17日

6/9 ソワレ K-BALLET COMPANY クレオパトラ(1)

6/9(土) K-BALLET COMPANY「クレオパトラ」を見てきました。

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とっても鮮烈で印象に残る女王クレオパトラのキービジュアル。
眼差し、メイク、衣装、美しい肢体、公演に対する期待が掻き立てられます。

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ポスターは他にも何種類かありました。写真に撮りきれなかったのもあった。

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プログラムは2,500円でした。いい紙使ってるし内容もそれなりに充実してるけど、まあ高いよね。1600円くらいにならんかね(前も似たようなことを言っている…)。だって最後の11ページくらい広告だし(バレエ団関連の広告は除く)。意外と見るところが少ないのよね…。使用楽曲のセトリが欲しいところだ。
いや、文句ある人は買わなきゃいいだけだけどさ。写真が充実しているのと、場にまで分かれた詳細なあらすじと、楽曲の作曲者ニールセンについてのコラムは良かった。

えー、それはさておき。
公式サイト 公演情報
アンチBunkamuraなので(すみません)、東京文化会館の公演を選びました。3階席の一番前の席で、ちと遠いけど意外と見やすかったです。でもオペラグラスは必須ですね。私は目が悪いので、オペラグラスがないと小道具とかが何かよく分からない時もありました。
3階席は初めてだったんですが、結構気に入ったので今後も公演によってはアリだな。次は2階席を試してみたい。勿論一番いいのは1階席の見やすいところだけど。オペラグラス使うのめんどくさいし。

芸術監督/演出/振付/台本:熊川哲也
音楽:カール・ニールセン
舞台美術:ダニエル・オストリング
衣装:前田文子
照明:足立恒
指揮:井田勝大
演奏:シアターオーケストラトーキョー

クレオパトラ:中村祥子
プトレマイオス:山本雅也
カエサル:スチュアート・キャシディ
アントニウス:栗山廉
オクタヴィアヌス:遅沢佑介
ポンペイウス:ニコライ・ヴィユウジャーニン
ブルータス:伊坂文月
オクタヴィア:矢内千夏

K-BALLETを見るのは初めてです。本作「クレオパトラ」は熊川哲也監督の演出・振り付けによるK-BALLET COMPANYオリジナルのグランド・バレエとして昨年2017年に初演されたものの再演です。
あの有名な古代エジプトの女王クレオパトラの人生をバレエの舞台の上に再構築した大作で、素晴らしい作品でした。

まず、幕が開きまして。
どーんと、古代エジプトの壁画調の横顔(の、涙を流す目のアップ。ホルスの目だね)が描かれた紗幕。
カール・ニールセンによる主題曲(「アラジン組曲より」)が出だしから力強く演奏されます。とてもインパクトのある曲です。この衝撃的な曲との出会いがバレエ「クレオパトラ」として結実した旨がプログラム等で語られていましたが、さもありなむと納得のいく楽曲です。このバレエのために作られた曲としか思えないほどのシンクロシニティ。クレオパトラのテーマ。
圧倒されつつどきどきしながら見守るうちに、紗幕の向こうに映し出される女王の堂々たるシルエット。
美しく、完璧に完成された演出だと思いました。

今回、3階席だからというのももしかしたらあるのかもしれないですが、音楽がすごく大きく、豊かに広がって聞こえました。低音の音の割れ方が趣味じゃないところもあったのですが、いやーでも低音かっこよく響いてました。金管も木管も弦もズコーみたいな瞬間がなかったわけではないのですが、総じて音楽に対しての満足度は高かったです。褒め過ぎかも。

プロローグが終わり、本筋が始まりますと、まずはクレオパトラの夫にして弟で共同統治者のプトレマイオスが登場しました。一目で分かる、「あ、こいつダメな子だ」感。ガキで、努力が嫌いで遊び好き、でも自尊心はとってもたかーい! というのがすごく伝わってくる。
どうでもいいが、ガキで努力が嫌いで遊び好きで自尊心は高いというキャラ付けにはシンパシーを感じる…。自分のようだ(おお…)。
プトレマイオスがぴょんぴょん飛び跳ねてるところとか、ほんと、王様としてはダメダメね、というのがよく分かって、そうは言ってもまだ若いんだからしょうがないのかなーという共感っぽい感情も湧いてきて、いよいよクレオパトラが登場してビビるプトレマイオスには一緒にビビってみたりもして…。
こんだけダメダメとか言っておきながらクレオパトラに威圧されるプトレマイオスにはちょっと同情もしてしまう。山本雅也さんが実に好演されていたと思います。

そして中村祥子さん演じる女王クレオパトラ。怖い・笑
でも、怖いクレオパトラは主に一幕だけかなと思った。二幕のクレオパトラは、栄華の後には後ろ盾を次々と失い悲嘆にくれ、やがて避け得ない破滅へ向かっていく、その悲痛な姿が格調高く描き出されていて、一幕のおっかないクレオパトラはインパクトがものごっついんだけど、私は二幕の運命に翻弄されるクレオパトラの方が好きだな。

一幕で印象深かったのは、エジプトの壁画のポーズ(片方の掌を上、もう片方の掌を下に向けて、体は正面を向いているけれど顔は横向きで…ってやつ)で女官たちがわーっと出てくるところと、神殿男娼たちの踊りです。
壁画のポーズの女官たちが出てくるところは本当に衝撃的でぎくっとしました。おお、古代エジプトが、あの壁画の世界が今自分の目の前に!
古代エジプトというのが空想の非現実の世界でなく、自分がその世界で今生きているかのような気分がしました。同時に、古代エジプトという遠い世界が、今自分が生きている現実のこの現代に繋がっている実感のような、不思議な矛盾した感覚が湧き起こりました。変な表現ですが。
客席と舞台を一体化させて、観客に舞台の中の世界を体験させるようなはたらきがありました。

そして神殿男娼たちの踊りですが、これは女王クレオパトラが6人の男娼たちの中から一夜の情事の相手を選ぶ踊りと、その後の実際の情事の踊りです。

6人の男娼たちが自分を選んでもらうためにアピールする踊りはキレッキレで、すごい運動量で(いや運動量の少ない踊りはそもそもそうないでしょうが)、純粋に見ていて楽しい。全員で引っ繰り返って手足バタバタさせるところはちょっとゴキ〇リみたいな動きで(なんか虫っぽいのよ。甲虫っぽい)ヒイッってなったけど、とにかくキレが良くて面白かった。なのにキャスト表に載っている神殿男娼はクレオパトラに選ばれたひとりだけで、全員は載ってないのだ〜。載せてください。

そんでその後の情事ですが。「クレオパトラ」には直接的な性表現が大胆に取り込まれていました。えっちなバレエといえばロイヤル(ていうかマクミラン)…と思っていましたがそれどころの話じゃない。ちょっとびっくりしたのは事実ですが、バレエが性表現をしてはいけないわけは勿論ないし、これがなければこの舞台のクレオパトラは随分とぼやけたクレオパトラになってしまうと思います。
そんでもって官能的な一夜の後、女王は自分が選んで寝た男娼に毒を飲ませて殺してしまうの。男娼は逆らわず、従容と死んでいく。

えーっと全然関係ないんですが、以前ボリショイシネマで「パリの炎」を見に行った時、近くの席のマダム(上演中煩くって、マダムとか呼びたくないが)がKバレエのファンのようで、そんでお好きなダンサーが神殿男娼を演じておられたようで、しきりと「クレオパトラの性奴隷」という言葉を連呼しておられて、性奴隷なんて言葉エロ漫画でしか見たことねえわ…音声で聞くの生まれて初めてだわ…と思いながら「パリの炎」を見ていたんですが、性奴隷というか、実際舞台を拝見すると、クレオパトラと一夜を共にできるなら死んでもいい、むしろクレオパトラと寝たという最高のタイミングで死にたい、くらいの神殿男娼たちでした。まあ性奴隷だけどさ。蠱惑的で魅力的で官能的でどうしようもなく恐ろしい女王です。

男娼を殺した後のクレオパトラが印象深かったです。何と言いますか、倦怠のようなものを感じました。何もかもかったるい、男を殺すのも何となくそうしただけ、深い意味があったことじゃない…というような。それは女王の孤独ではあるのでしょうが、孤独よりも退廃、そして人生の停滞のような印象がありました。

しかしその停滞したような女王の運命に変転が。
プトレマイオスとの対立(謀反のように見えるプトレマイオスの哀れさ)がローマからの逃亡者、ポンペイウスの登場によって一気に進展する。ポンペイウスは殺され、クレオパトラは王宮を追われる。
ポンペイウスの行方を追って遂にカエサルが登場。カエサル役のスチュアート・キャシディさんはすごく合っていました。カエサルというとスケベなハゲというイメージの日本人も多いのではないかと勝手に思い込んでいますが、キャシディさん演じるカエサルは威厳や重々しさがあり、色好みではあるかもしれないがスケベなハゲではない。この場合の色好みっていうのは何度も言うけどスケベとゆー意味ではなく、女性をよく愛することを知っているという意味です。シュッとしたヒーローではないけど、格好いい壮年のおじさまでした。

カエサルが登場すると、案内人(宮廷道化師的な役割です。クレオパトラのアニムスかなとも思いました)の差配にて、カエサルをもてなすための宴が設けられます。そこではエジプシャン美女たちが次々と踊る場面があり、色々なタイプの踊りが見られて好きなシーンでした。衣装も全員違ってたし。華やかで可愛くてよかった。
んが、カエサルは満足せず、満を持して登場したのが絨毯に包まれて運び込まれてきたクレオパトラ。有名なエピソードですねえ。エジプシャン美女たちには「ふーん」って感じだったカエサルも一目でクレオパトラに魅了され、まさに一撃ノックアウトといった感じで二人は結ばれます。プログラムのあらすじには「クレオパトラもまた勇猛果敢なカエサルに惹かれ、ふたりは恋に落ちる」と記載されていたのですが、私はやはりどーもカエサルばかりが夢中になって、クレオパトラは後ろ盾を得る手立てとして彼を誘惑しただけに感じましたが、どうかな。見る人によって受け取り方は色々かな。とにもかくにもこうして自分自身を貢物として最高権力者に与えることでゆるぎない後ろ盾を得たクレオパトラは反撃に転じます。

一方、クレオパトラを追い落として調子こくプトレマイオス。人としてやってはあかんことをやらかす。やはりこいつはダメダメだ。最初に登場した時はちょっぴり可愛らしいダメダメさだったのが、狂気方面にダメダメさの舵を切る。こいつはほっといてももう滅びるな…という感じですが、案の定更にやらかす。
そのやらかしはクレオパトラとカエサルに反撃の大義名分を与え、プトレマイオスは破滅。死に至ります。
こうしてクレオパトラは女王に返り咲き、一幕が終了。

長くなってきたので二幕の感想は次の記事で!
posted by 綾瀬 at 15:55| Comment(0) | 雑記・バレエ

2018年06月21日

6/9 ソワレ K-BALLET COMPANY クレオパトラ(2)

前回の記事の続きです。

6/9(土) K-BALLET COMPANY「クレオパトラ」 ソワレの感想。
2幕から。

舞台はローマにあるカエサルの屋敷です。寝台の上にカエサルとクレオパトラが寝そべっており、早くも退廃と倦怠の気配が漂います。そうは言ってもふたりの間にはカエサリオンという子供が生まれていて、仲睦まじい家族の姿も描かれます。カエサル奥さんいるけどな。
クレオパトラに骨抜きにされ、人心を失いつつあるカエサルを諫めるために側近たちがやって来ますが、カエサルは態度を改めません。こりゃダメだ、てなわけでブルータスらはカエサルを暗殺することを決めます。
そしてさくっと暗殺。カエサルの白い装束の左胸から真っ赤な血が溢れ出します。

カエサルを失ったクレオパトラは悲嘆にくれます。この嘆きのシーンは、やっぱりクレオパトラは本当にカエサルを愛していたのかな、と思うようなシーンでした。子供までもうけ、長年実質的な夫婦のような時間を過ごすことで愛情が育まれたのか。女王というよりは普通の妻のようでした。エジプトの女王としてローマの庇護者を失ったことに対する嘆き、というだけには留まらない悲嘆だったかと思います。

さて、そこへやって来たるはカエサルの部下だったアントニウス。シュッとした格好いいアントニウスです。嘆くクレオパトラを引き起こし、踊る踊る口説く口説く。最初は「いやいやそんなカエサルが死んだばっかで口説かれても」とも思ったのですが、不思議と厭らしくなく、むしろアントニウスの思いがクレオパトラに通じればいいのに〜とアントニウスを応援する方に気持ちが傾く。多分栗山廉さん演じるアントニウスがシュッとしてて格好いいからなんじゃないでしょうか。普通こういう、悲しみに暮れるヒロインに言い寄るキャラクターってスケベでとにかく嫌な感じのポジになることが多い気がするんですが、このアントニウスは全然そんな感じがしない。

いいじゃんいいじゃんカエサルが死んだばっかでも。カエサルはクレオパトラにとってある種の運命の人ではあっただろうけど、運命の人がひとりとは限らなくてもいいじゃん。

しかしアントニウスと私の思いは通じず、クレオパトラは息子カエサリオンを連れてエジプトへ帰ってしまいます。
アントニウスは身のこなしがしなやかで王子様然としていて格好良かったんだけどな〜。勿体ない。でも王子様然としている分、どこかクレオパトラの敵ではないというか、格が違うというか、ちょっとそんな感じはある。女王と王子様じゃねえ。そりゃ。

んで、カエサルの後継者である後の皇帝、遅沢佑介さん演じるオクタヴィアヌスがアントニウスとの同盟関係を強化するため妹オクタヴィアとアントニウスとの婚姻を計画します。このオクタヴィアヌスもシュッとしてて格好いい。格好いいんだけど、アントニウスほど王子様然とした感じはしない。武人、かつ政治家って感じがより強い。
クレオパトラに惚れているアントニウスはオクタヴィアとの結婚には乗り気になれません。しかしオクタヴィアヌスに押し切られ、何だかんだで結婚は決まってしまいます。

このオクタヴィアが本当に可愛い。ダンサーは矢内千夏さん。可愛いっていうのは単に容姿がっていうのでなく、もしこの「クレオパトラがロマンティック/クラシック様式や新クラシック様式のバレエで、メインヒロインがクレオパトラでなくこのオクタヴィアだったら眠りやシンデレラのような物語になっていたのではないか」と思わせるような可愛さなのです。
アントニウスと踊るパドドゥは可憐で清純で本当に可愛らしい。乗り気じゃないアントニウスにお前いい加減にせえや、失礼やろと言いたくなる(さっきまでクレオパトラとの関係を推していたくせに)。
そして結婚が決まり、オクタヴィア渾身のグラン・フェッテ。舞台全てがオクタヴィアに集中し、飲み込まれるというか、オクタヴィアから放たれるオーラで包まれるというか、花弁が綻ぶような華やかな衣装も相俟って、この人は本当なら誰からも愛されずにはいられないヒロインだったのだ、というのが伝わってくる圧巻の踊りでした。
しかしこれがお伽噺を描くバレエならオクタヴィアはそのまま幸せをつかんだことでしょうが、「クレオパトラ」はそうではない。描かれるのは女王を中心とした歴史スペクタクルで、オクタヴィアがどんなに完璧に可愛らしいヒロインでも、彼女はアントニウスの心を掴むことはできない。もしふたりが結ばれていたらそれこそ物語の中の美男美女のカップルでしたでしょうに。可哀想…私が養ってあげたい。

ヘタレアントニウス(オクタヴィアに感情移入するあまり王子様キャラアントニウスもここではヘタレ呼ばわりせざるをえない)はきっぱりと結婚を断ることもできず、ずるずるとオクタヴィアと結婚してしまいます。クソヘタレめ。そのくせやっぱりクレオパトラを諦めきれず、新妻オクタヴィアを放置してクレオパトラを追いかけ出奔してします。はあ? お前舐めてんの??? という感情でいっぱいになります。やっぱ駄目だ王子様キャラは。アルブレヒトとかソロルとか数々のクズヘタレどもの姿が脳裏をよぎる(職業:王子じゃない人も含みますが)。
この、クソヘタレが花のように可愛らしい新妻を突き放してローマを後にするシーン、舞台の床に窓枠が黒く縁どられた青い照明が投げかけられ、すごく綺麗でした。暗い室内に青い色ガラスの色が外から差し込む光で映し出されているような感じね。ここのシーンが特に気に入りましたが、「クレオパトラ」は終始照明美術がとても美しくて素敵でした。

一方、クレオパトラは船上で気鬱に沈んでいました。案内人やお付きの侍女たちが彼女の気を引き立てようと色々心を配りますが、クレオパトラはそれを退け、気怠げに過ごしています。案内人の踊りはキレが良く、クレオパトラのために心を込めて踊られていたのがよく伝わったのですが、それでも女王の気鬱は晴れない。

そこへやって来たクソヘタレアントニウス。クレオパトラの前では彼はヘタレを卒業し、再び王子様然とした佇まいを見せます。そして歓喜するクレオパトラ。気鬱は一気に散じてしまいます。
この時のクレオパトラはアントニウスに本当に心を寄せていたように思えました。泣く泣くローマを後にしたけれど、クレオパトラはあの時本当はアントニウスに恋をしていたのではないか。本当は彼の傍にいたかったのではないか。そう思わせるようなふたりの逢瀬です。

ふたりが結ばれてよかったね、と思ったのも束の間、やはりクソヘタレアントニウスの裏切りは許されることではありません。オクタヴィアヌスが兵を率い、エジプトへ攻め込んできます。妹をコケにされた恨みを晴らす、というよりはローマを裏切った男を成敗する、という感じですね。

戦闘は終始ローマ優勢、アントニウスは追い詰められます。この戦闘のシーンは冗長っていうんじゃないですが、なんかこー、似たような振付でぐるぐる同じところ回ってるので、もっとブラッシュアップの余地があるかもしれません。まあローマ兵たちが駆け回ってる姿は嫌いってわけじゃないんですが。

そしていよいよオクタヴィアヌスに追い詰められたアントニウス。自分のやらかしてきたことのツケを払う時がやって来ました…と思いきや!
なんと、オクタヴィアヌスはアントニウスを殺そうとしてやめてしまいます。それは見逃してやろうっていうんじゃなく、お前なんてもう自分たちローマの敵ではない、殺す価値もない、と言わんばかりの振る舞いです。
ざまあみろヘタレという思いと、でも折角思い人と一緒になって幸福だったのに可哀想という思いと、まあ相反しますが複雑な感情が湧き起こります。

この辺のオクタヴィアヌスは、私はすごく格好良く魅力的に見えました。悪役というのでもないが、正義キャラともちょっと違う。言うならばこの人に付いていきたいと思うような感じ…。カリスマ性ってこういうことかしらん。格好いい役とダンサーでした。

そして敵にも見放された王子様アントニウスは屈辱に耐えきれず自決を決意。まあ自決以外ないですね。この状況では。王子様を引退して、どんな泥水を啜ってでも生き延びてクレオパトラを幸せにする、というタイプではなかったわけでして。

クレオパトラが駆け付けてくるものの、女王の腕の中でアントニウスは息を引き取ります。嘆き悲しみ、狂乱するクレオパトラ。カエサルを失った時とは違う悲しみの表現です。
この時の様子を見ても、私はクレオパトラが本心からアントニウスを愛したように思えました。そして多分カエサルよりも(受け取り手によって見方が違うと思うけど)。
ただアントニウスの敗北と死はクレオパトラのエジプト女王としての命脈の終わりでもありました。そのことをクレオパトラが思い出すのは、一頻り取り乱し、嘆き悲しんだ後というか、その中でのことだったように感じました。

ラスト、クレオパトラのテーマとも名付けたい、冒頭に演奏されたのと同じ主題曲が奏でられます。
取り乱すクレオパトラの傍にこれまで彼女の人生を通り過ぎていった死者たちが次々と現れ、冥界へ続く階段を上っていきます。死んでいたアントニウスも起き上がり、死者たちの列に連なります。
この時のクレオパトラは次第に落ち着きを取り戻し、やがて威風堂々たる女王の風格をも取り戻します。
女として、人間としての愛の終わりの嘆きの後に、運命の終わり、自らの破滅の時を迎え、世に並び立つ者のいない女王クレオパトラを取り戻したように見えました。このクレオパトラは人でなく神に近い聖性を放っているようでした。

死者たちが消えていった冥界へ、女王も階段を上ります。そして美しい影となって身が投げられ、女王の孤高の自死が描かれ、幕。

すごく見応えのある舞台でした。
そして普遍性のある舞台でもあったと思います。曲の編集、演出、振付、全てオリジナルでこれほどの大作を作り上げるのは本当に並大抵のことでないと思います。いやそんなん私に言われるまでもなく当たり前だけどさ。他になんて表現すればいいかよく分からん。
普遍性のある、つまりどこの誰に対してでも勝負できる作品だと思うので、よそのバレエ団からも買い付けに来られたりして、世界中で演じられるといいな〜なんて思いました。

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あと最後に、おみやのドレッシング。何故こんないいものをいただけるのか? と思いましたが、このドレッシングの提供元であるシュガーレディという会社さんは今年からK-BALLETの団員の食事面のサポートをしておられるということで、そのコラボプロモーションの一環のようでした。ありがたくいただきます!
posted by 綾瀬 at 19:41| Comment(0) | 雑記・バレエ

2018年06月28日

ベルギー旅5日目(1) 今日も朝のお散歩

楽しい楽しい海外初ひとり旅も遂に5日目になってしまいました。後半も後半です。さみしい。
本日の夕方にはゲントを後にして最後のデスティネーション、ブルージュへ行かねばなりません。天井のない美術館と言われるほど美しい古都ブルージュは勿論楽しみなのですが、ゲントが気に入りすぎてしまって街を出たくない気分でもあり……。

そんなことを言っていても仕方ありませんので、前日食べきれずに残ってしまったチェリーを朝ご飯とし、観光に出かけました。

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朝、っていっても10時か11時くらいだったかと思います。相変わらず朝の遅い女である…。
しかし写真だけ見るとまるで早朝のようだ。日本だったらこの空の色はかなり早めの朝の色だよね。
落ち着いた、美しいヨーロッパの街並みです。

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橋を渡る途中。白さの際立つ右側の家々が可愛い。屋根の色が苔むしたような色なのも趣深いね。煙突があるのもグッド。実際、お家に煙突があったらメンテナンスが大変だと思いますがロマンではある。

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ちなみに反対側はこんな感じ。わりと近代的な(?)街並みです。この日はその、わりと近代的な辺りをよく通りました。伝統的な古風な街並みと近代的な街並みが混ぜこぜになったような感じで、これはこれで面白い。
もしかしたら京都のやや住宅街寄りの方の街並みなんかも、外国の方から見たら同じように感じられるのかな。

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そんな感じの街をお散歩しながらふらふらと目的地に向かって歩きます。右側の朱色の建物可愛い。
↑の写真の通りも、古風な建物とそうでもない建物がいい感じに立ち並んでいます。

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アールヌーヴォー風の建物が並んでいました。クラシカル、ではあるけれど中世風ではない。歴史の長い街だけに、色々な建築様式の建物がありますね。
左側に見切れている張り出し窓もお洒落で可愛いぞ。

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んで、中世風で、結構くたびれた感じの建物。何のお店かな。もうちょっと近付いてみてみればよかった。建物前面の装飾が凝っていて、窓枠の赤がキュート。

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そんでもって建物の側面には、何か、いた。二階に相当する場所なので、結構高い位置。
どなた様か不明ながら、この方専用の壁龕が設けられている通り、なかなかの実力者とお見受けします。
ヨーロッパって時々こうやって建物の側面とかに壁龕が作られて像が飾られているよね。キリスト教的なモチーフならまだ分かりやすいけど、こちらの像は一体どういった由来でこちらに鎮座ましましているのか…。はて。

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この建物が気に入ったのでやや引きで2連続。
ギザギザ屋根のファサード、立ち並ぶ縦長の窓ガラス、謎の像…。
素敵だな! 優美なアールヌーヴォー風の建物も連なっていて、本当に可愛い通りです。
こういう可愛い通りがあちこちにあるんだもん。たまらんわ!

そんでもってそういう素敵な建物は現在ではお店屋さんになっているところが多く、いちいちショーウィンドーを冷やかして歩いているものだからなかなか目的地へ辿り着きません。亀のような歩みです。

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んでねえ、歩いている途中、素敵な生地屋さんがあったのよ。

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何が素敵って、鶴。
正月から縁起いいじゃん! と気に入ったらしく、何故か2枚も写真を撮っているのであった。

しかしこの布地を生活の中に取り込むにはかなりのハイセンスが必要になるのではないかと思うのである。
王侯貴族の宮殿なら、チャイナ趣味の一環として逆にイケそうだが。

とか言ってるから本当になかなか目的地に到達しない。
のんびり気ままな朝のお散歩です。


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posted by 綾瀬 at 12:27| Comment(0) | 16年12月ベルギー